副業の確定申告を税理士が解説!手順・注意点・e-Tax活用法
副業の収入が増えてきたものの、確定申告の手続きに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、税理士の渡邊亮先生に確定申告の必要性や手順、e-Taxの活用法、よくある間違いなど、副業の確定申告に関する基礎知識から実践的なアドバイスまでを詳しく解説していただきました。
確定申告の期限や準備のタイミング、初めて確定申告を行う場合のアドバイスなど、副業に取り組む方々にとって有益な情報が満載です。この記事を参考に、確定申告への不安を解消し、適切な納税を行いましょう。
所得が20万円を超えると確定申告が必要
――確定申告の必要性と目的について教えていただけますか。
渡辺:確定申告は、1年間の所得と税額を自分で計算して申告する制度です。副業の場合、所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。ただし、ここで重要なのは「所得」と「収入」の違いです。所得は収入から必要経費を引いた金額を指します。
つまり、収入が20万円を超えていても、経費を差し引いた所得が20万円以下であれば、確定申告は不要となります。 確定申告の目的は、適切な納税を行うことと、場合によっては還付を受けることです。副業の収入を正確に申告することで、適切な税額を納めることができます。また、経費を正確に計上することは、税の払い過ぎを防ぐことにもつながります。
――確定申告の手順と必要書類についてざっくり教えていただけますか。
渡辺:確定申告の基本的な手順は以下の通りです。
・収入の集計:副業先から発行される源泉徴収票や、フリーランスの場合は請求書や売上明細などを集めます。
・経費の計算:副業に関連する経費の領収書や明細を集計します。なお、副業が給与所得の場合には経費は計上できません。
・所得の計算:収入から経費を引いて所得を算出します。
・申告書の作成:集計した情報を基に確定申告書を作成します。
・申告書の提出:作成した申告書を税務署に提出します。
・納税:納付すべき税金がある場合は納付します。
必要書類としては、本業の源泉徴収票、副業の収入を示す書類(源泉徴収票や売上台帳など)、経費の領収書などが挙げられます。また、マイナンバーカードや本人確認書類も必要です。
確定申告はe-Taxが便利
――e-Taxの利用方法とメリットについて教えていただけますか。
渡辺:e-Taxは国税電子申告・納税システムのことで、インターネットを通じて確定申告ができるシステムです。利用方法は以下の通りです。
・e-Taxのウェブサイトにアクセスし、利用者識別番号を取得します。
・マイナンバーカードを使用してログインします。
・画面の指示に従って必要事項を入力します。
・入力した内容を確認し、電子署名を行って送信します。
e-Taxのメリットは多岐にわたります。まず、24時間いつでも申告できる点が大きいですね。また、書類の郵送や税務署への来訪が不要なので、時間と手間が大幅に節約できます。さらに、入力ミスを防ぐ機能があるので、より正確な申告が可能です。
――マイナンバーカードの活用について、もう少し詳しく教えていただけますか。
渡辺:マイナンバーカードは、e-Tax利用時の本人確認や電子署名に使用できます。これにより、より安全かつ簡便に確定申告を行うことができます。具体的には以下のような活用方法があります。
・e-Taxへのログイン:ID・パスワードの入力が不要になり、セキュリティが向上します。
・電子署名:申告書への署名が電子的に行えるため、押印や署名の手間が省けます。
・各種証明書の添付省略:マイナンバーカードを使用することで、一部の証明書の添付が省略できます。
これらの機能により、確定申告の手続きがよりスムーズになります。
早めに確定申告の準備を始めるべき理由
――確定申告の期限と準備のタイミングについて教えてください。
渡辺:確定申告の期限は、毎年3月15日です。ただし、この日に税務署が休日の場合は 翌営業日になります。この期限を過ぎると、原則として延滞税がかかりますので注意が必要です。 準備のタイミングですが、私はできるだけ早めに始めることをおすすめします。
具体的には以下のようなスケジュールが理想的です。
・12月:本業の年末調整の書類や副業の収支に関する書類を集める
・1月:必要書類を揃え、大まかな収支を把握する
・2月上旬:確定申告書の作成を開始する
・2月下旬~3月上旬:申告書の最終確認と提出
早めに準備を始めることで、書類の不備や計算ミスに気づきやすくなります。また、不明点があった場合に税務署に相談する時間的余裕も生まれます。
確定申告の注意点
――確定申告でよくある間違いや注意点はありますか。
渡辺:はい、いくつか代表的なものがあります。
・収入の申告漏れ:副業の収入を忘れずに全て申告することが重要です。
・経費の過大計上:経費は事業に直接関係するものだけを計上しましょう。私的な支出との線引きに注意が必要です。
・控除の見落とし:医療費控除や寄付金控除など、適用可能な控除を見落とさないようにしましょう。
・期限切れ:締め切りに間に合わないと延滞税がかかる可能性があります。早めの準備を心がけましょう。
・計算ミス:数字の入力ミスや計算間違いに注意しましょう。e-Taxを利用すると、ある程度自動でチェックしてくれます。
これらの点に注意しながら、丁寧に確定申告を行うことが大切です。不安な点があれば、税務署の無料相談窓口を利用するのもよいでしょう。
――確定申告を初めて行う人へのアドバイスをお願いします。
渡辺:確定申告を初めて行う方には、まず恐れずにチャレンジしてほしいと思います。日本の税制は申告納税制度を採用しており、納税者が自主的に計算して申告することが前提となっています。多少の誤りがあっても、故意でない限り厳しく追及されることはありません。 まずは、自分の状況に合った会計システムやアプリを選び、日々の収支を記録することから始めてみてください。
そして、わからないことがあれば、税務署の無料相談窓口や青色申告会の相談会などを積極的に利用してください。 最初は難しく感じるかもしれませんが、一度経験すれば次回からはずっと楽になります。確定申告は単なる義務ではなく、自分の収支を把握し、適切な 事業活動を行うための重要なプロセスです。この機会に、自分の財務状況を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。