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低温調理機がヒントになった焼かない焼肉屋「29ON」。業界に先駆けてサブスクを取り入れ繁盛したワケ

ビジネス

完全予約制・会員制にこだわって飲食店の運営をしている理由

そして、2016年10月に西新宿へ1号店をオープンさせる。

だが、なぜ会員に絞り、かつ完全予約制に振り切って事業を展開しているのか。
そこには、従来の飲食店が抱える課題を解決したいという思いがあった。

「29ON 日本橋室町」で提供しているコース料理の写真

「29ON 日本橋室町」で提供しているコース料理の写真

「天候や季節などの外的要因を考慮しつつも、お客様が来るか否かにかかわらず、飲食店の営業はしなければならない。つまり、食材は用意しておく必要があるため、フードロスも多くなってしまうわけです。

その一方で、29ONでは完全予約制にすることで集客部分の不確定要素を減らし、コース料理のみの提供、ドリンクもペアリングを基本にして無駄を省き、効率的に飲食店運営ができるように創意工夫しました。こうすることで、飲食業界では常態化してしまっている長時間労働もしなくて済み、29ONでは1日8時間労働、週休2日制をとることができています」(米山さん)

加えて、完全会員制にすることで「飲食店の新たなキャッシュポイントの創出を図った」と米山氏は続ける。

株式会社29ON 代表取締役の米山 健一郎氏 インタビュー

「飲食店はお客様に料理やドリンクを注文いただくことで、売り上げにつながるわけですが、それだけだと繁盛しているときは良いですが、常に集客を意識しなくてはなりません。月額の定額制にすることでキャッシュが安定しますし、何より『お客様に忘れられない』ことが会員制ならではのメリットです。

どんなに有名店でも、多種多様な食にあふれる日本では、すぐに忘れられてしまう。でも29ONの場合、年間で14,300円の会費がかかるので、否が応でも『元を取るためにお店を予約する』という来店喚起の醸成につながるんです」

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