『silent』見逃し配信も話題のTVer、なぜ“伸び悩み時期”を突破できたか
テレビ番組の告知が突破口につながった
しかし、「一時期はダウンロード数の伸び悩みも経験した」と中島氏は言う。
「他の事業者と同様にデジタル広告を行い、300万ダウンロードまでは順調にきたんですが、そこから停滞した時期もありました。何か打開策はないかと、さまざまなテストを繰り返しましたが、地上波の番組内でTVerを訴求する手法が解決の糸口になったんです。
最初は放送中にテロップを流したり、CM前に告知したりしていましたが、局によって方法やタイミングがバラバラでした。そんななか、TBSが番組の最後にぶら下がり広告のような形でTVerを訴求したところ、一定の成果が得られたため、そこから各局でTVerの告知フォーマットが共通化されていきました。
今では配信されるほとんど全ての番組でTVerの告知が入っています。さらに、テレビ番組の出演者からもTVerに言及する機会が増えていったのも、いい後押しにつながりましたね。トークが滑ったときに、わざと『今のはTVerでもう一度見てください』と言ったりと、自然と浸透するような雰囲気が醸成されていったと感じています」
テレビスクリーン対応で裾野も拡大
さらには2019年にTVerがテレビスクリーンに対応したのも、ダウンロード数を増加させる布石となった。
「2019年ごろから、ゲームやテレビ番組以外の動画配信コンテンツを視聴するためにテレビスクリーンを使うニーズが増えてきました。これまで地上波番組の視聴層の毀損を恐れ、TVerのテレビスクリーン対応は慎重にならざるを得ない状況でしたが、テレビスクリーンの大画面で流れる広告は広告主からの引き合いも高く、スマホやタブレット、PCのほか、コネクテッドテレビでもTVerを視聴できるようにすれば、多様なユーザーニーズに応えられると考え、対応を行いました」
こうして、2022年7月には5000万ダウンロードを突破。現在(2023年1月)はMUB(月間ユニークブラウザ数)も2500万に到達するなど、TVerは大きく伸長した。