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「ゆるキャラブーム」に終焉の兆し…アベノミクスが原因!?

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 こうした投資効果の高いイベントにおいては、1位を獲るために各自治体は血眼になり、その競争は熾烈を極める。

「地元のゆるキャラを全国レベルに押し上げるには、あのイベントはいいツールなんです。だから得票数は、地元行政のヤル気のバロメーターと言える部分もあり、昼休みの時間になると、県庁内で全職員にゆるキャラグランプリでの投票を促すアナウンスが流れるのは当たり前。県下の市町村の防災無線を使った投票呼びかけまで行われるケースもあります。さらに過去には、自動投票プログラムを駆使した組織票の動員もありました」(犬山氏)

「今さらゆるキャラじゃないだろ」という空気

[ゆるキャラ]ブームの終焉

最盛期にはライセンス契約料で約50億円を稼いだ、奈良県の「せんとくん」

 これまでに開催された各回の投票数を見れば、各自治体の全力投球ぶりは一目瞭然だ。’11年に29万票弱で1位を獲ったくまモンに対し、’13年の勝者「さのまる」(栃木県佐野市)は120万票を集め、’16年の「出世大名家康くん」(浜松市)に至っては、695万票をかき集めた。これは都道府県人口ランキング6位の千葉県を70万人も上回る数字であり、もはや組織票の域を超えている。

 各自治体担当者が、世間の疑問の目などお構いなしに、かくも露骨な票レースに打ち込んできたゆるキャラグランプリ。それが打ち切りとなっては一大事だろう。

 ところが、ひこにゃんブームの仕掛け人であり、日本各地の自治体のブランド戦略立案に幅広く携わるPRプロデューサーの殿村美樹氏によれば、昨今では大きな潮目の変化が起きているよう。自治体の担当者たちの間には、「今さらゆるキャラじゃないだろ」という空気が充満しているというのだ。

「一時期の地方自治体は、ひこにゃんや、くまモンなどの爆発的ヒットを目の当たりにして、ゆるキャラグランプリの順位・得票数をいかに上げるかに熱狂していましたが、だんだん白けてきています。

 地方行政においては、議会に次年度の政策を説明する際に、目新しく、数字という形で実績が見込めるものを評価する風潮がありますが、今までこのサイクルに乗ってきたゆるキャラに代わる、新たなものが出現しているんです」

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