パチンコや麻雀が楽しめる「介護施設」。当初は“反対意見”も実現に至ったワケ
ラスベガスで閃いたアイデア
次に日本シニアライフ株式会社代表取締役・森薫氏に話を聞いた。なぜ麻雀やパチンコを遊べるデイサービスを立ち上げたのか。
「介護報酬の財源は税金なのですが、東日本大震災を受け、『日本はこのままだと大変なことになるのでは?』『税金に頼るのは危険かもしれない』と考えました。新しいアイデアを探るため、アメリカに視察に行きました。そこでラスベガスのカジノに行ったのですが、高齢者が多く楽しんで遊んでいる様子にとても驚いたんですよね。もちろん、大金をかけているわけではなく少額で楽しんでいたんです。
そもそも、デイサービス利用を敬遠される人も多く、また『自分はまだまだ元気だ!』という人も少なくありません。デイサービスに楽しく通ってもらう方法を常に考えていたので、『カジノのように遊べる施設にしたら良いのでは?』と思い、オープンしました」
選択肢を増やす必要性を感じた
とはいえ、当初は社内で反対意見が多かったという。
「やはり、デイサービスにも多様な選択肢があったほうが良いと考えています。選択肢が増えることによってデイサービスの利用を前向きに捉える人も増えるため、役員会の多数決はギリギリでしたが、なんとか説得できました」
麻雀やパチンコが遊べる以外のラスベガスの魅力についてはこう語る。
「スタッフとご利用者が対面してコミュニケーションをとれる環境づくりを心がけています。例えば、事務作業を簡略化したり、電子レンジを使う料理を採用したりなど、スタッフが作業に追われる事なく、ご利用者と一緒に楽しめる職場を今後も整備していきたいです」