低評価を付けられるウーバー配達員の悩み「へりくだったらチップが増えた」
2022年10月、ウーバーイーツ配達員の男性が邸宅侵入容疑で、警視庁巣鴨署に逮捕された。報道によると、男性は配達へ行ったマンションに無断で侵入して、注文者であった女性の部屋の玄関ドアにカレーをぶっかけた。ハンバーガーやポテトを配達したが、配達先を間違えるなどしたため、女性が配達員のサービスについて「低評価」を付けた。どうやら、その腹いせだったようだ。
今回はウーバーイーツの評価システムについて、配達員が日頃どのように感じているかを取材した。事件の原因となった「評価」システムによってときに惨めな気持ちになると話すのは、ウーバーイーツ歴2年の田島俊さん(仮名・27歳)。客や店からの評価さえなければ、「自由で楽しい仕事」だと話す。
ウーバーイーツは「主体的にやれる仕事」
高校を卒業してから、アルバイト1本で生活してきたのだという。
「貧乏旅行でも外国を旅したかったんです。資金は派遣やアルバイトでつくりました。今も海外へ出かけることが1番楽しい。目標は、南米とアフリカに行くことです」
そんな俊さんは誰からも指図されることがなく、自ら主体的にやれる仕事として「ウーバーイーツを選んだ」と話す。
「朝7時から明け方まで、ほぼ24時間好きな時間でマイペースに働けます。上司や先輩などの上下関係もなく、場合により受けた配達を配達員がキャンセルすることもできますから。へりくだって会社やお客さんにこびる必要はないんです」
評価システムに不満が
ウーバーイーツのシステムは、注文者である客が自らピンを立てアプリ上の地図に住所を登録する。だが、客の住所が地図上で間違った場所に登録されることもある。配達員はアプリ上の地図を見て配達先へ向かうのだが、住所が間違っていた場合は配達員と客は互いに連絡を取り合って配達を続行する。当然、客とうまく連絡が取り合えない場合もあるわけだが、その際は配達員側で注文をキャンセルすることができる。
さて、客や店サイドが配達員に対して「良い悪い」と評価できるシステムについて、「不条理なことがある」と俊さんは不満をあらわにする。
「評価はお客さんや店が配達員に対して一方的に行えます。要は配達員に問題がなくても、その日の気分で悪いと評価できてしまうわけです。例えば、アパートやマンションへ配達へ行くと、はじめにエントランスでインターフォンを押してお客さんに到着を知らせます。
その際、無言でエントランスの扉を開ける人も多く、配達員はインターフォンごしにお客さんが出ているのかどうかの判断がつきません。なのに、配達員が無言だったと勝手に気を悪くして、後から悪い評価がつくことがあります」