初心者が最も避けるべき「金融商品」とは?投資の基本を“金融工学の専門家”が語る
資産運用で最も大切なのは「大きな失敗をしないこと」です。しかし、投資の初心者は、自分でもよくわからない金融商品に手を出してしまい、結果として致命的な損失を被ってしまうことが少なくありません。
ここでは、クオンツ(金融工学を駆使する専門職)として活躍する冨島佑允氏による著書『現役クオンツがやさしく教える資産が自動的に増えるインデックス投資入門』の中から、初心者がやらないほうがいい投資手法について、抜粋して紹介します(以下、冨島氏寄稿)。
初心者は避けるのが無難な金融商品は?
「商品ETF」とは、金や原油など、経済活動に不可欠な天然資源や農産物の価格変動から利益を得る投資方法のことです。個人投資家は、これらの価格に連動するETFを購入することで投資を行うことができます。
金融の世界では、各種の天然資源や農産物をまとめて「商品」と呼ぶことが多いため、天然資源や農産物の価格に連動するETFのことをまとめて「商品ETF」と呼びます。
金や原油が最もポピュラーですが、他にもプラチナ、銀、パラジウム、銅、ニッケル、農産物(大豆や小麦など)、天然ガス、ガソリンなど、実にさまざまな種類の商品ETFが販売されています。
「商品ETF」は急変動が起きやすい
おすすめできない理由ですが、天然資源や農産物は世界的な需要と供給のバランスで価格が決まるため、何らかのニュースがきっかけで価格の予期せぬ急変動が起きる可能性があるからです。一般に、天然資源や農産物の値動きは株や債券よりも激しいのです。
例えば、2022年2月下旬にロシアがウクライナへ侵攻しました。両国とも小麦の主要な輸出国であったため、供給に問題が生じるかもしれないとの不安から2月中旬と比べて小麦は一時7割近く値上がりしました。
一方、この戦争への警戒感から同時期に世界中で株価も下落しましたが、その下落幅は、世界株式の指数で見ればせいぜい10%程度でした。小麦は値上がりしたのだからいいじゃないかと思うかもしれませんが、これだけ激しい値動きを示すということは、逆に言えば同じくらい値下がりする場合もありうるということです。