元サッカー選手が25歳で選んだ“第2の人生”。「強豪国チーム」所属でどん底の経験も
完全実力主義の世界で結果に集中
だが、クロアチアは2018年のワールドカップで準優勝を収めており、言わずと知れたサッカー強豪国だ。世界中から猛者が集まるなか、アジアからやってきただけで、下に見られ、相手にされないことも多かったという。
「海外のプロサッカーリーグで一番感じたのは“完全な実力主義”ということでした。アジア人だからと差別されるのはあまりなかったものの、やはりヨーロッパが一番というプライドが強く、なかなか受け入れてもらえない部分も多々あったなと思っています。自分を認めてもらうには結果を出すしかない。毎日英会話の勉強を日課にしたり、体脂肪が溜まらない食事や練習開始1時間前の自主トレーニングなど、誰よりも努力するのを意識したりしていました」
こうした努力が実り、キーパーとしてある程度の結果を出せるまでに成長。古屋さんはチームにも欠かせない存在として認識されるようになった。
南米で人生のどん底を味わうことに
そんな矢先、今度は「アルゼンチンの3部リーグのトライアウトに挑戦しないか」というオファーが舞い込んできたのだ。「昔から南米でプレーするのが夢だった」と語る古屋さんは、クロアチアの3部リーグに残留するか、あるいは南米に移籍するかという選択肢のうち、アルゼンチンのトライアウトを受ける決意を固める。
「南米のサッカーは、僕のような背の小さい人でもたくさん活躍しているのを知っていて、一度でもいいから現地でプレーしたい。そう願っていたので、またとないチャンスに断る理由はありませんでした」
しかし、世界有数のサッカー大国として知られる南米ゆえ、実力は相応のものが求められる。古屋さんはトライアウトを受けるチャンスはもらえたものの、結果としてアルゼンチンの3部リーグに所属することができなかった。
「有望なサッカープレイヤーをトライアウトにスカウトし、実際のプレーを見て合否判断する。これが海外のプロサッカーリーグの主流になっていて、自分は10チームくらいのトライアウトに受けたんですが、あえなく全て落ちてしまったんです……。また、途中で携帯電話や財布が盗まれたりと散々な思いも経験して。この時が人生で一番のどん底でしたね」