36歳で市議になった元東大院生が語る「氷河期世代こそ議員を目指せ」の真意
わずか1か月半、実質5万円の諸経費で当選
選挙と言えば、立候補者が街中を選挙カーで走り回り、大音量のマイクを使った街頭演説で有権者に訴えかけるイメージもある。ただ、萩原さんはいずれも実践していない。
「実際の活動は、選挙前の期間に自転車で自作のレポートを配って回っただけです。また、選挙にはお金がかかるイメージもあると思いますが、実質の出費は、選挙ポスターと『今の議会には若い人がいない』と思いをぶつけたチラシの印刷費、諸経費で合わせて5万円ほどでした。立候補するための供託金30万円も支払いましたが、当選後に返還されました。もし落選しても、よほど低い得票数でないかぎり返還されます」
結果、萩原さんは「589票」の得票数で当選を果たした。当時の順位は立候補者23人中17位で、当選者18人のうち下から2番目。しかし、順位ではなく「当選するという結果にこそ意味がある」と言う。
「当時の和光市は人口が約8万3000人で、有権者はそのうち約6万5000人。出馬した2019年の市議選では投票率が38%ほどでしたから、実際の投票者数は2万5000人ほどでした。つまり、その2~3%にあたる票を獲得できれば当選できるんです。順位も当選者のうち下から2番目でしたが、別にトップを取らなくてもいいんです。大学受験と同じで、当選できればいい。最高点を取る必要はないです」
立候補したい若者は「都市部のほうが有利」
萩原さんは、議員に当選するまで一山いくらの“コネなしフリーター”だった。秘書などとして政治家に師事した経験もない。まったくのゼロの状態から、短期間で有権者の支持を獲得できた最大の理由は「若さ」にあったと話す。
「選挙では、若い候補者ほど票が入りやすい傾向があり、当初から『少なくとも200~300票は入るだろう』と推測していました。立候補した和光市は他の地域と比べて市民の平均年齢が低い印象だったのも、そう考えていた理由です。ですから、若くして立候補を考える人がいるのなら、平均年齢が高い地方よりも、都市部のほうが有利だと考えています」