「売春島」で元教職員が取り組む“地域おこし”の全貌「知っていたら応募しなかった」
2021年には“恋人の聖地”に選定された
また、研究のためにやってきた東京大学の学生からのアドバイスにより、ホームページも開設。維持管理費の安い業者を探してもらって運営を開始し、撮影した動画なども掲載しながら渡鹿野島を紹介している。
「そういった島外の方たちからのアドバイスや助けもあり、渡鹿野島は2021年、ハートの地形をしたオノコロ伝説が残る日本最古の島として“オノコロハートアイランド~日本最古の恋人島・わたかのじま~”として“恋人の聖地”に選定されました」
これまで紹介したように、渡鹿野島は魅力ある伝説や美しい景観に加え、利便性も兼ね備えた観光に最適な島である。ただ、性産業が活発だった頃に置屋だったスナックなどの建物がそのまま残るなど、島にとって負の遺産となっているものも少なくない。
「でも、それは仕方のないことです。そういった過去があったということを変えることできません。島内に残る建物も、買い手が付いたものもありますが、手つかずの状態です。すぐにどうにかなるというものではないと思っています。でも、このままではいけない」
歯の神様への「遊歩道づくり」が今後の課題
そう語る茶呑さんの近い目標は、島内にある歯の神様「歯くささん」の遊歩道づくり。県内外から噂を聞きつけて参拝客がやって来るものの、社殿が離れ島にあるため現在は船がないと辿り着けない。そういった状況を改善し、観光客を呼び込むのが目的だ。
「2003年に設置された“わたかのパールビーチ”はコインロッカーもシャワーも無料の人工海水浴場ですが、年間で1か月ほどしか稼働していません。そんなビーチの活用も課題でしたが、いまは地域おこし協力隊の峠(広之)くんが年間をとおして利用できるよう頑張ってくれています。渡鹿野島の一大イベント“天王祭”も今年2022年は、新型コロナの影響で未実施だった期間を経て、3年ぶりに開催できました。ただ、こちらはやはり人手不足ということもあり、今後の開催については課題が残ります」