「タワマン修繕費の高騰」でローン破綻者も…2022年の大規模修繕ラッシュで何が/2022年上半期BEST10
修繕費を抑えるために修復を怠ると…
実際、最近では危険性のない小さい外装のひび割れは修繕しない物件もあるという。しかし、榊氏からはこんな警告も。
「都内の湾岸エリアのタワマンは、強い潮風でパネルの間を埋めているコーキング剤の劣化が早い。修繕費を抑えるために、こうした部分の修復を怠ると、内部に潮水がしみ込み、取り返しのつかない事態になることもあります」
負担金の増額を回避できたとしても、どこまで直すかを巡って、住民の分断は回避できそうにない。
「修繕利権」に巣食う管理会社&組合の実態
大規模修繕には陰謀も渦巻く。
「都内のあるタワマンの管理組合を長年務めていた理事長は、住民からの信頼も厚かったのに、管理会社の大規模修繕計画に否定的な態度を取っていたところ、緊急動議で解任されてしまった。実はこれには裏があり、不信任案に票を投じた理事は、管理会社の息がかかっていた。管理会社や傘下の工事会社は儲けのチャンスなので、さもありなんです」(前出の榊氏)
管理組合からのキックバックで生活している理事もいるというが、都内のタワマンで3年前まで理事を務めていた男性(40代)も言う。
「ある時、理事一同がイタリアの有名家具ブランドから、イタリア料理のフルコースに招待された。のこのこ出かけていったら『共用部のロビーやラウンジの家具を、すべてウチで新調して』という商談でした。見積もりは2000万円超で到底予算に合わず断りましたがよくある話のようです」
管理組合に丸投げでは搾取されるばかりである。
<取材・文/奥窪優木 アズマカン 写真/ピクスタ>