“飲食経験ゼロ”から繁盛店に。歌舞伎町の「行列ラーメン店」女社長のルーツに迫る
開業直後は生活するのがやっとだった
――開業したときはすでに、お子さんが3人いらっしゃったんですよね。開業だけでも、また3人の子育てだけでも大変だと思うのですが、どのように乗り越えたんですか?
髙橋:もう、「焼きあごの魅力をたくさんの人に知ってもらいたい」という気持ちだけです。なにか、他の人にお伝えできるノウハウみたいなものはなくて、ただただ一生懸命やっていました(笑)
――それほど熱い思いを持っていらっしゃったんですね。ご家族や親戚の方の手助けがあったり、開店資金を多く貯金していて、余裕を持って開店に臨めたようなことはあるんですか?
髙橋:私たちは夫婦共、東京の生まれではないのでそれもなかったですね。お金についても、今より銀行からの融資もハードルが高かったので、開業時は350万円の貯金でなんとか物件を探して貧乏なスタートでしたよ。
世界中の人にあごだしの魅力を伝えたい
――お子さんがいると、経済的な不安は独り身以上のものがありますね。
髙橋:まだ味が安定しない開業したてのころは、家族5人で生活するのがやっとということもありました。それでも、焼きあごの魅力はきっと伝わると信じていたから続けられたんだと思います。
――完全にゼロからのスタートから、焼きあごブームを牽引するお店にまで成長し、今なおその成長が続いていると思いますが、今後の野望はありますか?
髙橋:今回はラーメン店に関する取材だと思うので、その視点で話しますと、当たり前ですが、もっともっとこのラーメンでたくさんの人に喜んでいただくことです。これはきっと、どこまでも満足することはないと思います。世界中の人にあごだしの魅力をお伝えできるまで終わりませんからね(笑)。
――「ラーメン店の視点で話すと」という注釈がありましたが、他の視点が入るとどうなりますか?
髙橋:ラーメンというアウトプットだけではなく、中期経営計画に焼きあごだしの「サプライチェーン」を掲げています。工場を立ち上げ、製造からお客様の口に届くまでを全て自社で担うことで、焼きあごだしの美味しさを多くの方に伝えていきたいです。
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まったくのゼロから、一大ムーブメントを作り出すまでに成長を遂げた髙橋氏。成功の裏には、苦労にも枯れることのなかった情熱と行動力があった。背景を感じながらたべるラーメンは、また格別の一杯になるだろう。
<取材・文/Mr.tsubaking 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>