コロナ「第8波」到来!一度感染した人は“4回目ワクチンをいつ打つべきか”専門医に聞く
一時金支払いでも「ワクチン接種が原因と断定は難しい」
――政府がワクチンを接種したあとに亡くなった方に一時金を支払ったことで、「やはりワクチンで死亡する」とSNSで話題になりました。
谷口:ワクチンを打ったあとに何らかの体調不良がある場合、ワクチンを接種したことが原因で起きた健康上の問題である「副反応」と、ワクチンを含むあらゆる医薬品を使用した後に起きた、あらゆる健康上の問題である「有害事象」に分けて考える必要があります。
有害事象は、ワクチンを打ったあとに転んでケガをしたとしても有害事象です。ワクチンを打っても打たなくても、亡くなる方は一定数います。例えばワクチンを打ったあとに病気になった方がいたとして、それが副反応なのかは、ワクチンを打った人と打っていない人でその病気の発生率を比べます。そのデータを積み重ねて、そのワクチンが原因となる副反応かを確かめるんです。
医師はワクチンの副反応が疑われる場合、厚生労働省にデータを提供することになっています。こうした情報はシェアされているので、個人の医師が事実を隠蔽することのメリットはありませんし、そもそも隠蔽自体が不可能です。
なんとも言えないのですが、因果関係をはっきりさせるような仕組みが日本にはないので、限りなく因果関係が認められなさそうな案件でも、それを明確に否定するだけの根拠を持ってこられない場合に、幅広く一時金が支払われるのではないのでしょうか。ですので、一時金が支払われたから即ワクチン接種が直接死因となった、と断定することは難しいと思います。
ワクチンに反対する方々の論理は
――今年8月は前年と比べて死亡者数が増えていて、超過死亡だとSNSで噂になっていました。
谷口:考え方や比べ方で数字は異なってきますが、例年と比べて死亡者数が多いのか分析したところ、新型コロナが原因で亡くなった方が7300人くらい、それでも例年より1万人くらい多いため、「新型コロナの感染による死亡だけでは説明がつかない」「ワクチンに違いない」というのがワクチンに反対する方々の論理です。
しかしワクチンを接種した後に何らかの理由で亡くなった方は2021年にワクチン接種を開始してから1800人程度(参照:「厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)」)。数が合いません。第7波のピーク時は、救急車を呼んでも来ない、病床が満室で入院できないなどの医療崩壊が起こりました。
本来なら亡くなるような疾病ではない方が、治療を受けることができずに亡くなってしまったと考えるのが妥当なところかなと思います。
<取材・文/和久井香菜子>
【谷口俊文】
千葉大学医学部附属病院感染症内科准教授。千葉大医学部卒。武蔵野赤十字病院初期研修医、在沖米海軍病院を経て、2005年セントルークス・ルーズベルト病院内科レジデント、2008年ワシントン大セントルイス校感染症科フェロー。2013年、千葉大大学院博士課程修了。2014年より現職。Twitter:@tosh_taniguc