10万円超を持ち逃げした新人社員。先輩の「冷静な分析」がドンピシャすぎた
会社を辞める理由は人それぞれですが、なかには周囲を驚かせて退職していく人もいるようです。金融関係の会社に勤めていた五条彰吾さん(当時・23歳)は集金ばかりをおこなう業務に就いていたとき、まさに驚くような退職を目の当たりにしました。
五条さんの仕事は、決まったルートを1日かけて集金し、集計して会社に報告する内容。金額はルートや日によって違っていましたが、だいたい1人で5万円以上。昼も会社に戻らないコースでは、「10万~15万円近くを集金していた」と言います。
神経がすり減る集金業務での出来事
「大金とまではいかない金額ですが、紛失したときの責任問題などを考えると神経のすり減る仕事でした。そんな集金の仕事に慣れてきた入社1年目の頃、新人のKさん(男性・26歳)がやってきました」
仕事はいくつか転々としていたようですが、地元では評判の大学を出ていたKさん。五条さんの会社では高校中退や高卒の人が多かったこともあり、「なぜ大卒なのにウチの会社を選んだのか?」と、皆が不思議がっていました。
「入社した社員にはまず、先輩社員が付き添って集金する担当ルートを教えます。このルートが結構複雑で、早い人でも1週間。遅い人だと2週間ぐらいかかります。でもKさんは、昼も会社に戻らないコースを3日で覚えて『早く独り立ちしたい』と言いはじめたのです」
新人社員が1人で集金することに
付き添って教えていたT先輩(28歳・男性)や上司の判断で、Kさんは4日目から1人で集金することになりました。Kさんが出発してしばらくは、社内で「Kさんは優秀だ」と話題になっていましたが、帰社予定時間になっても一向に戻ってきません。
「T先輩は、Kさんが道に迷っていないかたびたび電話していましたが、そのたびに『大丈夫です』と回答があったようです。また、最後の通話では『事故があったみたいで渋滞しているので、遅くなります』と説明があったと聞きました」
事故による渋滞ということもあり、しばらくはアクションをせず待っていたT先輩。それでもさすがに遅いと電話をかけたところ、今度は、何度かけても電話がつながりません。社内がザワつきます。五条さんが入社して1年、こんなことは初めてでした。