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賛否両論の「倒れないビジネスクラスシート」を体験。大手航空が“起死回生の一手”

暮らし

落ち着かない?顧客の評判は賛否両論

フィンエアー

昼間帯のシート位置

 筆者は2022年7月にフィンエアーに搭乗し、ロンドンまで行きました。搭乗便はこのエア ラウンジ シートを装備していなかったのですが、2月から装着機材は飛び始めていて、存在は知っていました。

 機内で何人かに声を掛け、利用したことのある2名の意見を紹介します。結果的には意見が真っ二つに割れました。英国の男性は、「自宅で過ごす時にソファでくつろぐのだけれど、誰の家に行ってもリクライニングするソファなんてないから、フィンエアーのこのビジネスクラスシートは落ち着くし良いと思うよ」と話してくれました。

 フィンランド人女性は、「出張でビジネスクラスに乗ります。倒れないシートは落ち着かないです。固定された背面のままの状態で起きているか、フルフラットで寝るかのどちらかしか選択肢がなく、中間のくつろぐ姿勢が取りづらいです。慣れるといいのかもしれないけれど、やはりリクライニングするシートのほうが好きだわ」という意見でした。

フィンエアー側の意見は

フィンエアー

就航セレモニー前の乗員全員集合

 フィンエアーの公式見解では、カスタマー エクスペリエンス プロダクト デザインの責任者である David Kondo氏は、次のように述べています。「これは、ビジネスクラスの座席の形状と機能に対する根本的な進化です」と革新的なものとして胸を張ります。

 フィンランド本社からヘルシンキ発初便に搭乗して来たコミュニケーションマネージャーのマリ・カネルヴァさんは「実際にご利用されたお客様からはさまざまな意見をいただきます。和室で座ってお過ごしになる習慣をお持ちの日本人の方は、まさにこのシートはうってつけだと思います。対して欧米の方々の中で、座席が倒れないことによる自由な体形で休めないなどのご意見もいただきます」と聞くことができました。

 程よい角度で成形されたシートシェルのシンプルさは、複合材料を使用して強度を高めながら、可動部のモーターなど重量、メンテナンスの必要性と燃料消費を減らし、修理に費やす時間も減らすことができます。

 エアラインでは、環境性能向上にSAF(バイオ航空燃料)の使用を進めていますが、複雑な機構のないシートでは機体重量が減り、CO2削減にも効果が大きいです。とは、フィンエアーのホームページに書かれた顧客への快適性に加えて大事な要素の説明です。

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