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賛否両論の「倒れないビジネスクラスシート」を体験。大手航空が“起死回生の一手”

暮らし

 海外旅行への渡航でビジネスクラスなんてとても……という若い年代の人でも、マイルの特典などで実際に利用する人は増えています。あらゆる年代の顧客を獲得しようと、エアラインのサービス競争が激化しており、ビジネスクラスではフルフラットは当たり前で扉の付いた個室型シートまで登場しています

フィンエアー

初めて羽田空港に降り立ったフィンエアーのエアバスA350-900型機(筆者撮影、以下同じ)

 そのような中で、新たなコンセプトとしてフィンランドのフラッグキャリア フィンエアーから、「エア ラウンジ シート」が登場しました

 デザイン性に優れた北欧家具のような大型の3D形状シェルに包まれたシートは、他社の標準レイアウトの1‐2‐1配列であることは同じですが、背もたれが倒れることはありません。それでもフルフラットで眠ることのできるシートとはどのようなものなのか、社内開発コードネームを「ファルコン」と呼ぶこのプロダクトが新たな空の旅に一石を投じることになるのか、実際の体験をもとに紹介します。

フィンエアー羽田便に装備される

 現在、フィンエアーの最新鋭機エアバスA350-900の18機のうち6機とエアバスA330-300の8機のうち4機が新規で改装済で、順次装備されていくと言います。

フィンエアー

折り返し羽田発AY062初便出発の様子

 10月31日から始まる冬スケジュールから新規に就航を開始したヘルシンキ⇔羽田空港路線の初便にこのビジネスクラスが装備された機体が飛来し、報道陣に公開されました。今後は、この新機材が羽田線には継続して投入されます

 機内に入ると、前方のコンパートメントに30席と中央部コンパートメントに13席が用意され、その後方に2-4-2配列のプレミアムエコノミークラスが24席設けられています。さらに3-3-3で標準配列のエコノミークラスが最後尾までで211席設けられていました。

進化したビジネスクラスに座ってみた

フィンエアー

ビジネスクラス後方から見たシート

 出発前に公開された機内で、ビジネスクラスシートに座ることができました。リクライニングしないシートでどう快適に過ごせるのか、とても気になるところです。

 大きなシェル型の背もたれが程よく傾いた位置で固定しています。座面が広く取られ、足元が切れ込んでいます。これをフットレストのように持ち上げると、座面はフルフラットになります。背面は立ったままですので、足元が通常のビジネスクラスよりも広く長い設計になっています

フィンエアー

フルフラットになった状態 頭は下のクッションの位置に来ます

 置かれた2つのクッションを自由に動かすことによって、身体を固定しリクライニングしないシートでも居心地よく過ごすことができます。あぐらをかくのも自在で、畳の上でくつろぐ風情を感じます。それもそのはず、開発者は日本人が床に座ることの多い文化であることに触発されて設計したと言います

 実際に長距離を飛んだわけではなく、ごく短時間の経験でしたが今後の旅に乗ってみたいと感じさせてくれるシートです。

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