月収70万円も!話題の寿司職人学校で「海外でも稼げるのか」広報に聞く
2022年9月5日「世界経済フォーラム」によれば、日本の最低賃金の平均時給が961円(7.16米ドル)だと公表された。一方、全国最低賃金が最も高い国は、ルクセンブルクとオーストラリア、ニュージーランド、英国、ドイツだった。
なかでもルクセンブルクは最低時給が15.66ユーロ(約2280円。1ユーロ=146.81 円)となっており、日本よりも倍の金額だ。「最低賃金が生活賃金を反映しているとは限らない」という意見もあるようだが、ここまで差があると、「出稼ぎ日本人」が増えるのもわかる。
今回は、海外で働く寿司職人を多く輩出している東京すしアカデミー広報の鈴木氏に、その授業内容や実際に稼げるのかなど話を聞いた。
すしアカデミーは創設20周年に
東京すしアカデミーは都内に新宿と築地に2校舎あり、2022年6月に20周年を迎えたばかりだ。まずは、学校を創ることになった経緯を聞いた。
「20年以上前は、街のお寿司屋さんが次々と経営不振に陥ってしまった状況でした。当時、お寿司屋さんの経営コンサルタントをやっていた代表の福江誠は、大きな原因として深刻な人手不足があったのではないかと考えたのです。そこで、寿司職人の学校を創ろうということになりました」
福江氏は経営コンサルとして数々の寿司店の経営指導を手掛けた人物だ。そんな彼が2002年6月に、日本で初の寿司職人学校「東京すしアカデミー」を設立した。
「当校には国内外合わせて毎年300名以上の方が受講されます。内訳としては海外からの受講生が100名ほどです。しかし、ここ数年は新型コロナウイルスの流行で渡航が制限されてしまったので『いつ入国できるのか』という問い合わせの対応に追われていましたが、今年の9月から再開することができました」
「出稼ぎ寿司職人」が話題
昨今テレビやネットで「出稼ぎ日本人」が話題になっている。注目のすし店経営者は東京すしアカデミーの卒業生だいうことも多い。「報道の影響で問い合わせを多数いただきました」と、鈴木氏は言う。
「もともと『海外に移住したい』という目的でいらっしゃる受講生は5割くらいでしたが、ここ1~2か月の間だと8割くらいになりました。海外からの求人数も増えていますので日本人の寿司職人の需要が高まっていることを日々実感しています。東京すしアカデミーの修了証明書があるとビザ取得に有利になりますので、今後も海外就職を目的とした受講生は増えていくと思います」
国内外からも人気の東京すしアカデミーだが、どんなことを教えているのだろうか。
「初日に学ぶのが包丁の研ぎ方です。お魚の捌き方や仕込み方、酢飯の作り方などを行います。最短2か月の“集中特訓コース”と6か月の“寿司職人養成コース”などがあり、お寿司だけではなく和食の一品料理や天ぷらなども習得できます」