20代の転職はスキル・学歴がないとできない?ヘッドハンターが語る意外な最新事情
「若うちにキャリアアップしたい」
20代で意識の高いビジネスマンの中には、きっとぼんやりそう思っている人も多いのではないでしょうか?
ところが終身雇用と、年功序列制度が長く続いてきた日本は、そもそも「キャリアアップとは何か」、「自分は転職すべきかどうか」といったことについて、相談相手がいない、間違った説がまかり通っている状況にあります。
毎月150人の候補者に会い、1兆円規模の大企業から数億のベンチャーまで幅広いクライアントを持つヘッドハンターが、読者の皆様にキャリアや転職の最前線をお伝えします。
20代こそ転職に有利、その理由は?
第1回目は「20代はもっとも転職しやすい世代」という事実についてです。実は20代というのは、大企業から中小企業までみんなほしがっていて、もっとも転職しやすい世代なのです。なぜでしょうか?
理由はいくつかありますが、まずはまだひとつの企業で働いて10年未満、企業の色がついていないからです。どこの企業にも独特のカルチャーや作法があり、それを引きずっての転職は、双方にとってリスクが高いもの。しかも新卒と違い、最低限の社会人経験があり、一通りのマナーは身に着けていますから、企業にとって効率が良いわけです。
また、新卒一括採用で十分に取りきれなかった人数を補填するのにもってこいの世代でもあります。新卒時に就活生は、どうしてもブランドや就職人気ランキングを見て、あまり熟考せずに企業を選びがちです。
しかし、数年の社会人生活を経て、企業の華やかな姿と内情は違うこともわかってきて、現実的な選択肢をしてくれる可能性が高いのです。
特別なスキルや学歴がなくても大丈夫?
私は多くの20代の方から、日々、転職の悩み相談を受けます。みなさん意外と誤解しているのが、「人と比べて、特別なスキルやずば抜けた学歴や職歴がなければ転職できない」と思っていることです。
答えはノーです。20代の中途採用は、その人のポテンシャルや素質を買ってのことがほとんどで、スキルや経験が致命的な決定要素になることはありません。
もちろん、大型のM&Aをやった、商品開発でヒットを飛ばしたなどの実績があればそれに越したことはありませんが、そんな大それたことでなくても大丈夫。例えばドブ板セールスで靴をすり減らして、必死で受注獲得にまい進した経験、店舗で日本語のできない外国人ばかりに囲まれて苦労したこと、そんなベタな経験も十分に価値となりえるのです。
今後、企業で働くにあたっての心構えや我慢強さ、優先順位のつけ方、そういった基本的なことが身についているかどうかが実はポイントなんです。