コロナで大打撃「ラオックス」が反撃に。小売業界の“海外進出&撤退”を振り返る
コロナ禍で大打撃「ラオックス」の反撃
なかでもラオックスの海外展開はまさにコロナ禍の影響を大きく受けたもの。ご存知のとおり、ラオックスは2009年に中国企業・蘇寧電器(現・蘇寧易購)の傘下になったことを契機に家電量販店から総合免税店へと転換。それ以降はアジア各国からの観光客による「爆買い」の象徴的な場としてメディアに登場する機会も増え、全国各地へと店舗網を拡大した。
しかし、2020年以降のコロナ禍により免税店事業は大きな打撃を受け、再び店舗網を大幅に縮小していた。そうしたなか、同社が採ったのは、「日本の老舗企業」であるとして中国で日本商品を販売するセレクトショップ・免税店の展開拡大。ラオックスはリゾート地・海南島のほか、山東省の済南市でも日本の化粧品や日本酒、アニメグッズなどを販売する店舗を出店している。
海外に行けない期間が続くなか、漢字圏では「偽出国」という言葉が生まれるほど海外的な雰囲気を求め、海外資本の店舗へと足を運ぶことが流行っているという。
国内事業は先が見通せない状況
その一方で、コロナ禍はまだまだ終わる気配を見せておらず、とくに中国の「ゼロコロナ政策」は厳しさを増し、2022年に入ると各地で都市封鎖が相次ぐこととなった。海南島の店舗はラオックスが海外における日本風免税店の先駆けとしてとくに力を入れているというが、その海南島も2022年8月に島ごと封鎖するロックダウンを実施。
ラオックスについても安定した営業を行うことができない状態が続いているとみられる。コロナ禍だからこその海外展開。一方で、それゆえのリスクも大きなものとなることは言うまでもない。
なお、ラオックスは6月よりかつて「爆買い」の場としても注目を集めた秋葉原のランドマーク「ラオックス秋葉原本店」を無期限休業させている。同社に取材したところ「再開は未定」「活用方法については検討中」だとしており、国内事業においても先が見通せない状況はまだまだ続きそうだ。