1番の苦労は「入店拒否」。全盲のヘルスキーパーに聞く、盲導犬と暮らす日々
“溝”を埋めるためには
多様性が叫ばれているものの、他者への寛容さはむしろ失われつつある昨今。誰もが生きやすい社会を実現するために、求められる考え方についてこう話す。
「やはり“助け合い”なのかなと思います。私のような障害を持った人間が『助けてほしい』と口にすることが必要であり、どのように助けてほしいのかまでキチンと伝える……そんな発信が大切です。そうしないと『助けたいけど、どうすればいいのかわからない』と、“溝”は埋まらないままです」
批判的な声にもしっかり向き合う
残念なことにSNSで批判を受けることも珍しくないという。
「『奴隷のように扱って盲導犬が可哀想』という声も頻繁にいただきます。ただ、『ヴィヴィッドは自分の仕事を全うしていて素敵』『四六時中、飼い主に寄り添えるなんて幸せ者』と180度異なる解釈をしてもらえることもあるので、『こう言ってくれる人もいます』と主張しないと批判的な人の理解を得ることはできません。
『どうしてほしいのか』というメッセージだけでなく、批判的な声にもしっかり向き合い、自分の意見や体験を発信し続けることが重要なのではないでしょうか」
意見を表明すれば批判を受けることは避けられない。それでも声を上げ続ければ、今日より過ごしやすい明日につながるのではないか。
<取材・文/望月悠木 取材協力/暗闇ヘッドスパ純度100 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
【浅井 純子】
1973年生まれ。大阪市出身。相愛中学校・高等学校、大阪成蹊短期大学卒業。2003年特発性周辺部角膜潰瘍を発症、角膜移植を繰り返す。2018年義眼を装着、全盲となる。2015年大阪府立大阪北視覚支援学校卒業。同年、マツオインターナショナル株式会社入社。あん摩マッサージ指圧師免許を活かしヘルスキーパーとして社員の心と体の健康を支える