サル痘は同性愛者以外にも感染リスクが。「偏った報道への危機感」を専門家に聞く
同性愛者でなくても感染リスクがある
世間では「サル痘=ゲイの間での感染症」という認識が根強い。サル痘と同性愛者の性交渉との関係性について意見を尋ねた。
「今回の世界的な流行においては、かなりの割合でゲイやバイセクシュアル男性と、『男性の同性間でセックスをする人』が占めていると報告されています。しかし、『サル痘がなぜ男性とセックスをする男性の間に今回集中して感染が起こっているのか?』という具体的な理由やハッキリとした関係性はわかっていません。
ただ、現実として男性とセックスをする男性たちのセックスのネットワークの中で、今回の流行は広まったと言えそうです。もちろん、男性とセックスをする男性以外の感染報告もあり、人を選ばずに感染が起こりうる病気であるという視点も大事です」
セクシュアリティに関係なく感染リスクがあるため、自分事として捉える必要がある。
偏った報道が大きな障壁に
岩橋氏はセクシュアリティに囚われない視点を持つべきだと指摘するが、誤った認識はメディアによって植え付けられていないだろうか。
実際、「男性同士の性的接触」といったワードを使ってサル痘を報じるメディアは少なくなく、「サル痘は同性愛者とのセックスでしか感染しない」という誤解はもちろん、セクシャルマイノリティに対する差別も助長しかねない。岩橋氏はこういった報道について危機感を口にする。
「ある特定の病気がゲイやマイノリティなどに結びつけて語られることは、差別偏見につながりかねません。そのこと自体が重要な課題ですが、感染症対策の視点で見ても流行を終わらせる上でとても大きな障壁になります」