ミスを押しつけられ、孤立して退職…一族経営の会社に元社員が復讐するまで
会社に金銭的、時間的損害を与えるだけでなく、顧客や取引先からの信用を落とすことにもつながる「発注ミス」。多くの企業では業務管理ツールを導入して作業プロセスを明確にしていますが、ヒューマンエラーをゼロにするのは目標であっても現実には困難です。
菅沼幸康さん(仮名・当時26歳)も、当時勤めていた住宅リフォーム会社で内装工事用の資材の発注ミスが発覚。桁を1つ多く発注する初歩的な間違いでしたが資材倉庫には大量の在庫を抱えることに。当初の被害額は数千万円に及んだといいます。
発注ミスした先輩が上司と結託して…
「付き合いのある会社に買い取ってもらったりして最終的には在庫をそこまで抱えずに済みましたが、それでも1000万円弱の損害を出すことになりました。会社が傾くことはなかったですが、社員25名にも満たない小さな会社でしたから結構な痛手になったのは事実です」
ちなみに誤発注をしたのは、4歳年上の同じ部署の先輩。ところが、こともあろうにすべての責任を菅沼さんに擦り付けてきたのです。
しかも、先輩は直属の上司である課長の腰巾着というか子分のような関係。「自分はこの発注業務に一切関わっていません」と何度訴えても聞き入れてもらえず、社内的には菅沼さんのミスとして処理されてしまったそうです。
一族経営ならではの理不尽な扱い
「この会社は一族経営で社員の3分の1が身内で固められていました。課長は社長の甥っ子だし、先輩は違いましたが社長の昔からの友達の息子で一族同然の扱いでした。そのため、自分がいくら身の潔白を訴えたところで所詮は外様。パソコンのログイン記録を確認して誰が担当だったのか調べることすらせず、先輩と課長によるでっちあげが事実とされてしまいました」
菅沼さんに何の落ち度がないことはほかの同僚たちも知っていたはずですが、火の粉が降りかかるのを恐れたのか手を差し伸べてくれませんでした。それどころか休憩中も声をかける人がいなくなり、社内でも孤立することに。