パワハラ課長の態度を「ハッタリ」で改めさせた若手社員の機転とは
胸倉を掴まれ恫喝されてしまう
翌年には父親の会社に転職する予定だったため、最後は後悔しないように仕事に取り組もうと心に誓っていた田中さん。それまでのように波風を立てずに上司の言いなりになることをやめ、委縮せずに積極的に意見の提案を申し入れます。
新課長は当然却下しますが、自身の意見の裏付けとなるデータなどを提出し、まったく引き下がりませんでした。すると、これに苛立ちを露わにした課長は彼を会議室に連れ込み2人きりになると、いきなり胸倉を掴んできて恫喝してきたのです。
「あれは焦りましたね。けど、私も退職の意思を伝えようかと思った矢先のことでし、まったく怖くなかったです。こんなことを言うと自分の腹黒さがバレてしまいますが、想像しなかった展開にむしろワクワクしていました(笑)」
いたって冷静に「やめてください」と言い、表情を崩さないまま胸倉を掴んできた上司の手首を掴むと力一杯握りしめたそう。その途端、うめき声を上げたのですぐに離したそうですが、ここで実家の建設会社の跡取り息子であること、会社を継ぐために年内で辞めるつもりであることを話します。
ハッタリにビビッておとなしくなった?
「そのうえで『今までのようなやり方を通すのであればわかってますよね?』と満面の笑みで言い、証拠があることを匂わせました。どこまで使えるかは微妙でしたがスマホの録音アプリで録っていたことがあるんです。
といっても1度だけなので半分ハッタリですけど、表情が少し青ざめていたので向こうは脅しと受け取ってくれたみたいです。おかげで以前のように自分のやり方で仕事を進めても何も言われなくなり、最後の半年はすごく働きやすくなりました。自分だけでなく同僚への態度も改めさせたため、みんなからはすごく感謝されましたね。送別会の時ですら課長に避けられていたのは悲しかったですけど(笑)」
仮に田中さんと同じ立場であったとしても、パワハラに屈せず上司をギャフンと言わせられた人はそう多くはないはず。それができればさぞ気持ちはいいと思いますが、上司にこれをやるのは決して簡単なことではありません。
そもそも復讐などを考えても自分が罰せられる可能性があり、わりに合いません。ここはやはり証拠を揃えて社内のハラスメント問題対応窓口に提出するなどルールに沿った然るべき手段で対応したほうがいいかもしれないですね。
― 特集・スカッとした話 ―
<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>