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統一教会問題で知るべきカルトの勧誘手口。対策弁護士に聞く「特徴は5つある」

ビジネス

自分の直感や良心を無視しないでほしい

信仰 スピリチュアル

――されるがままに流されていると、洗脳されてしまうのですね。

阿部:オウム真理教の元信者のかたも「自分の直感や感性を大事にしてほしい」と言っています。「あれ、これちょっとなんかおかしい」「これまずいんじゃないか?」という人間の本来持っている直感や良心、感性が自分の心に問いかけた時に、それを無視しないで自分の頭で考えてほしいし、周りに相談して欲しいと思うんです。

 なんかおかしいという感覚は持つと思うんです。本来断言できるはずのないものを断言していたり、嘘をつかせたり、犯罪に当たるような方法で物を売りつけたり。そういうことをやらせて、「それは神のためだ」とかですね。社会の常識や一般的な観念に反するようなことをやらせるわけですね。

 それは、今まで自分が培ってきたその感性や良心、直感に反する訳です。そういうセンサーが働くと思うんです。心の中の声が響いてきたら、やっぱりその時点で立ち止まって、自分の頭で考えてほしいし、周りに相談して欲しいと思います。

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 前述の摂理教祖の鄭明析氏が韓国で実刑判決を受けた件について、編集部が摂理側に「女性信者に対する性的暴行をした罪により実刑判決を受けた件について、どのようにお考えでしょうか? もし冤罪だと主張するなら、その根拠をお教えください」と問い合わせたところ、以下のように回答した。

【回答】:被害者とされる女性2名は、2006年4月に中国滞在中に被害に遭ったとして、現地の公安当局に被害申告をし、それを受けて、中国公安当局は、捜査を開始しましたが、中国・鞍山市中心病院が当該女性を診断した結果、性的暴行を示唆する異常は認められませんでした。
 また、中国公安当局は、2007年5月1日に鄭明析氏を逮捕しましたが、被疑事件について同氏を取り調べ、被害が起きたとされる現場も検証しましたが、被害申告の事実と客観的に合致しないことも判明し、結果として、嫌疑は認められず、性的暴行事件に関する裁判も行なわれることはありませんでした。そして、韓国政府の要請に従って、鄭明析氏を2008年2月20日に韓国政府に引き渡しました。
 ところが、韓国の検察・警察は同一の被害申告について、現場検証をすることもなく、鄭明析氏に有罪判決を下したわけです(かつ、上記の被害者とされる2名のうち1名は、虚偽の被害申告をしたとして告訴を取り下げ、その部分については公訴棄却されています)。
 現場検証をした中国公安当局は嫌疑なしとの判断をし、現場検証をしない韓国の司法当局は有罪判決を下した、という事実だけをもってしても、韓国での鄭明析氏に対する実刑判決は、不正確な事実を基に下された、誤った偏向的な判決と考えています。一般的に(日本でも報道されることもありますが)、韓国の裁判の実態は日本のそれとは異なるものであり、日本での裁判と同様に受け取るべきではありません。

<取材・文/熊田リキ>

【阿部克臣(あべ・かつおみ)】
山形県鶴岡市生まれ。早稲田大学卒業後、2009年第二東京弁護士会に登録。リンク総合法律事務所所属。一般民事事件、家事事件、刑事事件に加え、悪徳商法等の消費者被害事件を多く取り扱い、多数の消費者被害弁護団に所属している。最近では、成年後見、遺言等の高齢者事件も多い。弁護士会では業務妨害を受けた弁護士を支援する活動も長年行っている。主な所属団体は、全国霊感商法対策弁護士連絡会、全国先物取引被害全国研究会など多数

各種編集を経てフリーライターに。生きにくい人たちが少しでも減ることを願い、社会問題を取り上げた記事をメインに執筆している

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