統一教会問題で知るべきカルトの勧誘手口。対策弁護士に聞く「特徴は5つある」
「摂理」の被害はまだ表に出ていない
――どのような被害があるのでしょうか。
阿部:被害が性的なものなので、日本では刑事や民事の判決が出ていない段階です。統一教会のように判決がたくさん出ているような団体ではないので、まだ反社会的団体としてそれほど注目されている教団ではないんです。
最初は宗教色がまったくありません。そのあと人間関係を作って徐々に信頼関係を築いていくんです。一定の関係ができた時点で「聖書の勉強をしないか」と言って、だんだんと布教活動に移行していきます。
こういった問題を調査しているかたが勧誘Twitterアカウントやウェブサイトを調べたら、アカウント名やURLを並べるだけでワードファイルに60ページ以上になりました。膨大な数ですね。
――これらのアカウントやイベントが宗教関係だというのはどのようにして判明するのでしょうか。
阿部:参加者に信者の人がいるとか、講師として呼ばれる人がその教団の信者だとか、元信者のかたの告発とか、そうしたことから推測していきます。一見まったく関わりはわからないですから、知らないままイベントに参加する人はかなりいるでしょう。
(※摂理側は「当宣教会では、イベントが宗教と関係のないテーマのものであるとしても、教会活動あるいは宣教活動の一環としてイベントを行なう以上は、主催者が教会であることを明示し、参加者に伝えるように指導しております。したがって、聖書についての勉強会だと説明する段階で団体名を明かせば十分だと考えているわけではありません」と回答)
被害に遭いやすいのは真面目なタイプ
阿部:現にこの摂理は信者数が非常に増えていて、現在5000人以上いるとみられています。統一教会に比べると規模は小さいのですが、弁護士や医者、大学教授や実業家、スポーツ選手といった社会的地位や影響力のある信者も多いんです。また美男美女を広告塔にしてイベントに呼び、勧誘していきます。
(※摂理側は「(社会的地位や影響力のある信者が多いことは)事実ではない」「そもそも誰かを広告塔にしてイベントに呼ぶなどということは行なっておりません」と回答)。
――被害に遭うかたの特徴はあるのでしょうか。
阿部:例えばSDGs、環境問題など社会問題に意識が高く、かつ真面目・素直なかたが被害に遭いやすいと思います。また摂理は、将来、社会的に影響力を発揮しそうな人材を特に狙っています。統一教会の場合も真面目なかたが多いんです。
真面目で家族思い。もともと心が温かくて、人一倍家族思いのかたが被害者になる傾向があります。そういう真面目なかたが人生に悩みや迷いがあったりすると、つけ込まれる余地ができてしまう。
誰でも人生の浮き沈みはあります。たまたま人生や家庭で問題を抱えていたときに声をかけられて被害に遭うかたは多いです。ストレスを抱えていて、判断能力が落ちているときに狙われたら、誰でも危ないでしょう。自分は被害に遭わないから大丈夫、と考えるのが一番危険です。
統一教会の場合、ターゲットとなる相手の悩み、家族関係、財物といった個人情報を初期の段階で巧みに聞き出してすべて把握します。それをカルテのようなものに記載していくんです。