「35歳を過ぎると転職が不利になる」説は本当?転職サイト運営に真相を聞く
新型コロナウイルスの感染拡大や物価高騰など、様々な社会情勢に加え、働き方も多様化。変化し続ける昨今、現状維持から1歩先に進むため、転職を考える人も多いはず。しかし、まことしやかに囁かれるのが「35歳転職限界説」。これを真に受けて足踏みしている人も多いのではないだろうか。
そこで、IT人材に強い転職サイト「Green(グリーン)」を運営する株式会社アトラエのマーケティング担当、井端康氏に説の真偽を聞いてみよう。また、転職を有利に進めるための実践的なノウハウも伝授してもらった。
「35歳転職限界説」は本当か?
転職は35歳までがリミットであり、以降は厳しい戦いを強いられてしまう……というのが「35歳転職限界説」。転職を考える人にとって、これが事実かどうかは気になるところ。この点について、井端氏は、まず厳密に定義づけをする必要があると話す。
「弊社のような転職サイトの場合は、サイトに登録して、求人を見つけて応募します。そして、企業さんが書類選考を行い、面接を経て、内定がもらえて入社という流れになると思います。このような前提のもとで、『35歳転職限界説とは、応募して内定に至る確率が35歳で一気に下がるという説』と定義した上で話していきますね。実績から判断すれば、『応募して内定に至る確率が35歳で一気に下がる』という事実はありません。つまり、Greenにおいてはその説は間違っていると言えるでしょう」
広まった理由を推察すると…
ではなぜ、こうした説が広まっているのだろうか。
「まず前提として、年齢で求人を制限することは法律で禁じられているので、少なくとも建前としては純粋に年齢が理由で合否が決まることはないはずです。ただ実態としてはどのような基準で企業が合否判定をしているのかは不明な部分は多く、求職者側が書類選考を通過しなかった理由を『年齢のせいではないか』と推測することから始まっているのではないかと思います。
これが、他の合否要因が考慮から漏れたまま言説として拡大して、『35歳転職限界説』という形で残っているのではないしょうか。Greenにおける実績データでは、応募して内定に至る確率が高いのが30~40代です。ちなみに50代に入ると緩やかに下がってきます」