じゃがいも不足が直撃「スナックメーカー」3社。海外に熱い視線を送る今
円安、経済活動の再開、そしてウクライナ侵攻など……こうした要因による石油価格の上昇が、食糧価格の高騰を招いています。国内の食糧生産に焦点をあてると、2021年度は猛暑が発育不良・干ばつを引き起こし、北海道産じゃがいもの収穫量が大幅に減少しました。
当然ながらじゃがいもの価格も高騰しました。日本のスナック菓子メーカーはポテトチップス用のじゃがいもの多くを北海道産でまかなっていますが、「原料費高騰×収穫減」は同業界にどの程度影響を与えているのでしょうか。スナック菓子メーカー3社の近年における業績推移を調べつつ、さらなる拡大に向けた成長戦略を見ていきます。
カルビー:海外事業が好調
カルビーと聞けば、日本を代表するポテトチップスメーカーを思い浮かべるでしょう。確かに国内を主力としていますが、アメリカ、中国、東南アジアなど海外の広範囲に進出しているようです。
国内事業においては「Calbeeポテトチップス」、「じゃがりこ」を主力とする「国内スナック菓子(2022/3期売上高1757億円)」と、「フルグラ」を擁する「国内シリアル食品(同売上高277億円)」を主な商品群としています。近年(2019/3期~2022/3期)の業績は次の通りです。
【カルビー株式会社(2019/3期~2022/3期)】
売上高:2487億円→2559億円→2667億円→2454億円
営業利益:270億円→277億円→271億円→251億円
最終利益:194億円→175億円→177億円→181億円
国内事業売上高:2056億円→2086億円→2136億円→2136億円
海外事業売上高:405億円→455億円→531億円→644億円
全社売上高は過去最高も…
2020/3期は国内、海外ともに伸長しました。国内では物流・原材料コストの上昇から一部商品の値上げを実施し、増収に貢献しています。海外事業について同社は北米・中華圏・英国・インドネシアを重要4地域としており、現地に新会社を設立し、規模拡大に努めました。利益面では、コスト高を増収分が補うかたちで営業利益が増益となりましたが、設備の現存損失によって最終利益は減少しています。
2021/2期も全社で増収となりました。国内は土産用需要が減少したため、スナック菓子の販売が落ち込みましたが、巣ごもりによる健康意識の高まりからか「フルグラ」の糖質オフシリーズが好調となり、シリアルの販売が伸びました。
海外では「じゃがりこ」などの定番商品が北米で伸びたほか、中華圏ではEC需要が増収に寄与しています。全社売上高は過去最高を記録しましたが、営業利益は利益率の高い土産品需要の減少で前年を下回りました。