長い移動で“時差ボケ”を防ぐには?そもそもなぜ起きるのか
飛行機ほど、好奇心をかき立てられる乗り物はない。何度も乗っていると、つい見過ごしがちになるが、一歩踏み込んで観察すると、飛行機が謎や不思議の宝庫だということに気づくだろう。あの大きな機体には、数々の疑問が詰め込まれているのである。
なぜ飛行機はいつも1万メートルの高さで飛んでいるのか? 出発時の燃料をあえて満タンにしない理由は? 飛行機にまつわる謎や不思議を網羅した『最新版 飛行機に乗るのがおもしろくなる本』(著・エアライン研究会)より、長距離移動の悩みのタネ“時差ボケ”を防ぐ方法とは?などを紹介する。
空には飛行機専用の道がある!
空には地上の道路のように道がない。だからといって旅客機は好き勝手なコースを飛んでいるわけではない。決められた航空路に沿って飛んでいる。航空路は幅8キロメートル、高さ300メートル以上の一定の高度と間隔を保つことが世界共通で義務付けられているのだ。
対向する旅客機同士は2万9000フィートまでは1000フィート(約300メートル)の高度差、それ以上の高度では2000フィート(約600メートル)の高度差を保つように設定されている。航空路はいわば立体交差になっていると考えていい。
上空には多くの道が張り巡らされている
では航空路はどうやって設定されるのだろうか。航空路はおもにVOR(超短波全方向式無線標識)という無線施設を結んだ道でできている。
パイロットはVORから出される電波によって、旅客機の現在位置と進路を知ることができるのだ。VORが結ぶ航空路は全幅14.8キロメートルの幅をもつ。これはビクター航空路と呼ばれている。洋上飛行の国際航空路の場合は、VORの使用が限定されることもあり、より幅広い航空路をとっている。全幅90キロメートルや180キロメートルなどのものもある。
ところで航空路も地上の道路と同じように、東名自動車道や国道2号線といったそれぞれ名前がついている。たとえば、国際航空路の場合はA(alfa と読む。以下も同じ)、B(bravo)、G(golf)、R(romeo)のどれか1字と3桁の記号を組み合わせる。国内航空路はV(victor)、W(whisky)のいずれかと数字を組み合わせてつくる。目には見えないが、私たちの上空には多くの道が張り巡らされているのである。