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特殊詐欺の主犯が「レンタル元受刑者」に。受刑者家族からの“相談”も

ビジネス

詐欺事件の主犯格として収監

 フナイム氏は、2015年に特殊詐欺事件の主犯として詐欺罪で逮捕され、5年4か月の実刑判決を受けている。具体的にその顛末を語ってもらった。

「老人ホームの入居権に関してトラブルを仕掛けたうえで、当事者に近づいて『このままでは、あなたの全財産がなくなってしまうので、うちがいったん預かりますよ』と甘い言葉を餌にお金を奪う……というマッチポンプの手法ですね。インターネットで調べた名簿屋から買った番号にひたすら電話をかけて対象者を見つけていました。その後、事務所にガサ入れが来て逮捕され、起訴されたのは、3名の被害者の方から約6000万円をだまし取ったという内容です

 刑務所に服役することになるのだが、現在では塀の中で学んだことを「レンタル元受刑者」の利用者に話しているという。罪を犯した人物が何を学び、どのように変化したのだろうか。

「出所後のためにできることをしようと考え、服役中に英語、韓国語、通関士の資格の勉強をしようと決めました。加えて高卒認定も取得すべく、その勉強に取り組むなかで倫理の教科書を読んでいると、それまでの自分の考えや言動と真逆のことが書いてあり、生き方を変える決意ができました。聖書の『人にしてもらいたいと思うことはなんでも、人にしなさい』という言葉に感銘を受け、今でも実践しています」

依頼がきっかけでカレー店を開業

レンタル元受刑者

Curry House COUSEI

 フナイム氏は、2022年7月3日に新宿で「Curry House COUSEI」なるカレー店をオープンした。カレー店の開業に至った経緯をこう話す。

「高田馬場にある『極哩』というカレー屋さんから『レンタル元受刑者』の依頼を受けて、お店の営業や移転作業を手伝っていました。そんななか、たまたま店主からスパイスカレーの作り方が書いてある本をもらったんです。本を見つつ、初めて作る様子をツイキャスで配信してみたら、一生懸命取り組んでいることを店主が認めてくれて。店で修行させてもらえることに

 オープンしてまだ日が浅いが、取材当日も開店時間の午前11時には続々とお客が入ってきていた。「極哩」から学んだ、カレー作りの真髄と美味しさへのこだわりを教えてもらった。

甘味・酸味・辛味・旨味・苦味をガチンコでぶつけ合うということです。バランスを取るということとは全く違います。全部をガチンコでぶつけ合う感覚を『極哩』から教わりました。ごはんも美味しく食べていただきたく、土鍋で炊いています」

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