格差が広がる「消費増税」をしたがる国のウラ事情。なぜマイナンバーを活用しない
政治的には累進課税より消費増税が簡単
「消費増税は所得格差の是正につながるだろうか?」、この問いの答えをいうと、消費増税は所得格差の是正にはつながらない。一般的に格差を縮めるには、消費増税よりも累進課税のほうが効果は大きい。しかし、政治的には消費増税のほうが簡単だ。
特に経団連の支持を得ようとすれば、消費増税のほうがしやすくなる。消費税率を上げ、社会保険料は上げないといったほうが経団連は味方につきやすいからだ。
国にとっては、消費税のほうがとりっぱぐれが少ないという背景もある。消費税は仕入れを控除しなければいけないが、仕入れのほうがインチキすると控除できない。これは税務当局としてはありがたくて、仕入れの控除をきちんとしないと税金を負けてもらえないから国民の相互監視が働く。
マイナンバーと国税を結びつける意味は大きい
源泉徴収もそうで、企業としては損金を落としたくなるが、源泉徴収額を増やそうとすると個人が文句をいう。税金が増えるからだ。国民の相互監視が働くという意味で消費税と近い。
仕入れを控除するから、仕入れの側で適当にやられると税金を払う人が困ってしまう。だから国家が介入しなくても、源泉徴収や消費税は適正な税収が得やすい。ただし、所得税は経費のところで全て国が介在しないとチェックできないから徴収漏れがけっこう多い。
しかし、いまはマイナンバーが入っているから、昔とは様相が変わってきた。マイナンバーと国税を結びつける意味は大きい。マイナンバーと銀行口座をリンクさせれば、お金の流れがかなりの程度わかるのだ。