“国民的ヒーロー”になった元米国空軍准将が苦労して得た「学び」の正体
隣席の紳士、驚きの正体とは…
階段を下りてロビーに行くと、ダラス・カウボーイズのロジャー・ストーバックが私の横に来て言った。
「チャーリーとの会話が弾んでいたようだな」
「ああ、素晴らしい人だったよ」と私は答えた。
「想像もつかないよな」とロジャーが言った。
「何のことだ?」と私は聞いた。
「だから、月面を歩くんだぞ。考えてみろよ。世界中見渡しても、歴史上たった12人しか成し遂げていないんだぞ」
「ちょっと待ってくれ、ロジャー。何のことだ?」
「チャーリーだよ。チャーリー・デューク」と彼は言った。
「チャーリー・デュークがどうした?」
「まさか知らなかったのか?」とロジャーは笑った。
「知らなかったって何を?」と私は言った。
「チャーリー・デュークは史上最年少で月面を歩いた男だぞ」
私は恥ずかしさのあまり、下を向いた。そうだ! 史上10人目、最年少で月面に降り立ち、今もその記録が破られていない、米国空軍のチャールズ・デューク准将だ。
「すごく謙虚な」史上最年少で月面を歩いた男
デュークは海軍兵学校を1957年に卒業し、空軍に転属してテストパイロットになった。そして1966年には宇宙飛行士プログラムに参加が認められた。アポロ11号の初の月面着陸の際に、管制センターでクルーと音声通信をしていたのは彼なのだ。
不運に見舞われたアポロ13号のバックアップクルーとして、デュークは同僚の宇宙飛行士であるジョン・ヤングとケン・マッティングリーとともに、シミュレータを使って乗組員を無事に帰還させるための解決策を模索したこともある。そして1972年4月16日、アポロ16号に乗り込んだデュークとヤングは、同21日に月で最も高い場所にあるデカルト高地に着陸し、その間3回の月面探査を行ってその周辺を調査した。
「あのさ」と私はロジャーに向かって言った。「あんなにずっとしゃべっていたのに彼は一度も月面を歩いたとか、おくびにも出さなかったんだよ!」
「そりゃそうだろうね」とロジャーは笑った。「彼はすごく謙虚な人だから」