コロナ苦境のタクシー業界「大幅な売上減から人手不足に」運転手が語る現状
会社が最低賃金を保障してくれたが…
就業日数が半分になれば、当然収入も半分になるが、生活は成り立っていたのだろうか。
「会社が最低賃金を保障してくれたので、何とか生活することはできました。ただ、緊急事態宣言が終わった後、6月に入ってもタクシー業界の景気は戻らなくて、むしろ悪くなっていった。そこで半月の休業からさらに変更して、10日ずつ交代で休むシフト制になりました」
売上を伸ばそうにも、そもそも乗せる客がいない。佐藤さんを始めとするタクシードライバーたちにできることは少なかった。
「お客さんあってのタクシー業界なので、そもそも人がいない状態だと頑張りようもありません。やみくもに営業に出てもお客さんを乗せられるとは限らないし、事故を起こすリスクも上がります。当時は会社の方針に従うほかなかった」
時短営業とシフト減で辞めていく人も
7月に入ってからは、緊急事態宣言下よりも徐々に売上は上がってきたが、それでもコロナ流行前の5割程度。営業時間は8時間に伸びたものの、流行前の平均だった10時間には及ばない。
「収入減で生活できないドライバーはどんどん辞めていきました。当時、うちの会社には嘱託社員も含めて200人くらいの従業員がいましたが、20~30人は辞めたと思います。うちは65歳以上のドライバーが多いのですが、もともと年齢的にも体力的にも厳しいと思っていたところにコロナの影響を受けて、それがきっかけで辞めたという人もいます」
2020年から1年間にわたってコロナ禍のダメージを受け続けたタクシー業界。今もなおコロナの影響は続いているが、現在のタクシー業界は、流行当初から大きく変わってきている。
「今年に入ってからはタクシーの需要が高まり、売上はコロナ前よりもむしろ上がっています。以前は1日平均1万5000円前後でしたが、今は平均で1日1万9000円前後売り上げています。特に日祝日は休みを取るタクシードライバーが多いので稼ぎ時ですね」