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UberEats配達員のツラい体験談。高校生から「うわ、かわいそ〜」と嘲笑

ビジネス

交通社会では“いじめられっ子”

原付

※イメージです

 しかし、伸也さんをもっとも苦しめた相手は警察ではなかった。

急に幅寄せされるなど車に殺されそうになる場面が今まで数回ありました。2車線の道路でも急ハンドルでいたぶるように目の前に割り込まれたり、速度が遅いバイクは交通社会では正にいじめられっ子なんです。配達用バッグを車体の後ろに積んでいるせいか、バッグにロゴが入っていなくても有名なUberEatsや出前館だと推察されるようで、運営に通報されたこともありました」

 幅寄せや急な割り込みで二輪車を転倒させることは、重大な事故にも直結する。伸也さんは運転する原付のナンバープレートをもとにUberEatsと出前館に「蛇行運転をしていた」などと身に覚えのないことで通報されたこともあったという。

 UberEatsを例にとると、「配達パートナーに関する相談フォーム」「事故やUberに関する相談フォーム」が設けられており、一般人が目撃した配達パートナーに対する苦情や報告を入れることができる。「自分の人生がつまらないから、僕らのような社会的に弱い立場の人をいたぶりたいのでしょう……」と、伸介さんはぼやく。

言い返せない配達員の苦労

ウーバー

河野吉宗さん(仮名・29歳)

 介護職の合間に、副業的にフードデリバリーもやっているという河野吉宗さん(仮名・29歳)は、月に10日間ほど自転車でフードデリバリーをしているが、「大人になったのになぜか怒られる機会が増えた」とぼやく。

「自転車でちょっと高級そうに見えるマンションへ配達へ行ったときでした。お客さんへお届けしてからマンションを出る際に『お前そこにチャリとめるな! クズ』と、怒鳴られました。声のほうを見ると中年男性が鬼のような顔で自分をにらんでいました。

 マンション入口付近の壁に邪魔にならないように自転車を立て掛けていただけなのに怒鳴られて驚きましたが、後から考えると、僕がバッグを背負った配達員だったからだと思います。僕のことを社会的に下と思い、自分のことを優位に感じて威張ってきたのではないでしょうか」

 吉宗さんに食ってかかってきたという中年男性にも何かしら理由があったのかもしれない。だが、いずれにしても人に暴言を吐く行為は悪いことだろう。

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