サントリー、果実感が強い「缶チューハイ」を新発売。開発の背景を聞いた
果汁のパーセンテージにこだわらない
果実の美味しさが感じられるチューハイを目指したため、あえて果汁のパーセンテージにはこだわらなかったという。
「今現在、果汁のパーセンテージが高い缶チューハイは多くあります。ただ、より美味しい缶チューハイを目指すため、果汁のパーセンテージを競うのではなく、低くても果実感を感じてもらえるよう、開発当初から試行錯誤しました」
従来通りに囚われないアプローチを模索したことこそが「果実以上に果実」の実現につながったと説明。とはいえ、その道のりは険しく「レモン味、みかん味、りんご味の3種類で計100~200回は試作を重ねました。開発に関しては右往左往しながらでしたが、最終的には納得できるものができました」と当時を振り返る。
また、商品開発以外にも苦労も多かったという。
「商品開発とデザインは、当然別の人間が担当しています。しかし、最終的にはお客様はそれらをセットで楽しみますよね。ですので、役割が違っても共通認識を持っておかないと、『見た目とは裏腹に味わいが全然違う』と思わせる恐れがあります。今回の開発では、私達マーケティングの人間も含め、中味開発とデザインとの並走を徹底したことも大変でしたが、やりがいも感じましたよ」
「市松模様のようなデザイン」の理由
「レモン味は、レモンピール蒸溜酒とレモン浸漬酒を使用していますが、『果実以上に果実』を目指すためにレモンの香気成分を含んだ花の香りも素材にしています。みかん味もレモン味と同様、オレンジピール蒸溜酒とみかん浸漬酒を使用していますが、みかんの甘さを引き立てるためにハーブの香りを使用しました。
りんご味はりんご浸漬酒とホワイトブランデーをベースに作られています。また、5月24日から期間限定発売したパイン味では、パイナップル浸漬酒に弊社独自のジンを加え、爽やかな香りや味わいに仕上げました」
素材ごとの特徴を理解したうえで、適切な引き出し方を追求したという。もちろん缶のデザインにも「市松模様のようなデザインをしていますが、瑞々しい果汁だけでなく、レモン味には花、みかん味にはハーブ、りんご味にはソフトフルーツなど、各味に使用した素材も描かれています」と手を抜いていないという。