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元ユニクロ上席執行役員が明かす「恥ずかしい失敗」と「悩み相談のコツ」

ビジネス

ゼロから1になるのが重要

神保拓也

神保拓也『部下・同僚・チーム、あなたの心に火を灯す新常識 悩みは欲しがれ』(KADOKAWA)

神保:私もファーストリテイリング時代、400人の部下に「悩みを聞かせてほしい」と言っても悩みは全然集まらなかった。そこで私は「悩み相談に乗るよ」というアピールをずっと続けて、相談のハードルを下げてきました。すると、「神保さんはあんなに悩みを欲しがっていて、なんだかかわいそう」と1名来てくれたんです。

 ゼロが1になっただけですが、この1が重要で、それを逃さず悩みに寄り添ったんです。それが伝わって、彼がデスクに戻ったときに「(神保氏の悩み相談について)本気で悩みに乗ってくれて驚いた」と周りの人に話してくれたんです。そこから2名から4名になり、6名、10名とどんどん増えてきて悩みを欲しがるブランディングができてきました。

 なので、もし周りに困っている人がいたら、大したソリューションが出せるかわからなくても「30分だけ少し話さない?」と声をかけるのがいいのです。最初は断られることのほうが多いと思いますが、また別のアプローチをしていけば、いつかは0から1になると思います。

 困っている人のことを常に気にしてあげることで「この人私のことを気にかけてくれているんだ」と、少しずつ“信頼貯金”が溜まっていき、その人が本気で悩んだときに「悩んだらあの人に相談しよう」というふうに変わってくるんです。

いきなり未経験の部署のトップに

――ところで神保さんは元ユニクロで史上最年少上席執行役員だったようですが、ユニクロ時代で大変だったことは?

神保:大変だったのは物流という、極めて専門性の高い領域のヘッドをやってほしいと頼まれたことですね。今まで全く違う分野で働いていたのに、新たなセクションに異動して、そこのトップを任されたので、頼るものがない状態でした。

――物流に配属されたときの部下の反応はどうでしたか?

神保:私の下に部長が7名、すべて私より年上で、中には20歳近く上の方も。秘書の方が顔合わせ面談をセッティングしてくれたのですが、忙しかったのか面談をすっぽかされてしまったんですね。これはかなり効く先制パンチでしたね。

 私は自分なりに物流の専門書など勉強をして、部署への提案など準備していたんですが、一人前でもなく、半人前としても見られていなかったのかもしれません。

部下・同僚・チーム、あなたの心に火を灯す新常識 悩みは欲しがれ

部下・同僚・チーム、あなたの心に火を灯す新常識 悩みは欲しがれ

元ユニクロ史上最年少上席執行役員が明かす、心に火を灯すための新常識

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