あなたも巻き込まれてる?「不正まとめサイト」広告詐欺をNHKが追跡
サイトを開くと、バックグラウンドで見るつもりのないまとめサイトが勝手に開かれていたことはありませんか?
これはネット広告で不正にカネを稼ぐ「アドフラウド」と呼ばれる詐欺のひとつで、知らないうちに不正に巻き込まれている人は少なくありません。
9月4日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、番組の取材班がその実態の追及に乗り出し、突撃取材を敢行しました。
中央省庁の広告もアドフラウドの標的に
アドフラウドの問題点は、見てもいない広告を「見た」とカウントされ、クライアントが払った広告費を不正サイト運営者に横取りされてしまう点にあります。
NHKの調べによると、大手企業に留まらず、自治体や、総務省や法務省などの中央省庁なども狙われているそう。自治体や省庁が、税金を使って払った広告費が不正に横取りされているわけで、これは看過できる問題ではありません。
今回、NHKが目をつけたまとめサイトには、過疎化が進む鹿児島県曽於市のふるさと納税の広告が掲載されていました。この広告は、自治体が電通九州に3000万円の委託費用を払って制作されたもので、まったく想定外のサイトへ掲載されていたのです。
ネット広告の配信を請け負っている、広告代理店大手の電通デジタルの山口修治代表取締役は、番組内でこの状況を謝罪すると共に、現状のアドネットワークの手の施しようのない複雑な仕組みに閉口していました。
デジタル配信を生業とするプロがこの状況であることから、一筋縄では改善できない様子がうかがえます。
また、配信事業者大手のヤフーの宮澤弦常務は事実関係を認めたものの「こっちが厳しくすると、その裏をかくようなやり方というのが次々に出てくる。一社だけの努力でもどうにもならないところがある」と、対策が難しい現状を番組内で説明。
複雑に絡み合った広告のネットワーク
【夜10時10分(予定)】サイトを見ていたら、その裏で勝手に別サイトが立ち上がり、広告費が不正にかすめ取られる…いま、“アドフラウド”というネット広告の“不正”が広がっています。被害は、企業だけでなく国や自治体にも広がっています。※放送時間が変更になりました※https://t.co/W5x7gk2q5z
— NHK「クローズアップ現代+」公式 (@nhk_kurogen) 2018年9月4日
NHKはさらに取材を進め、不正なまとめサイトの運営者を突き止めました。福井県にあるその会社は、家族が役員を勤めている小さな家族経営の会社でした。もともとはまったく違う事業をしていましたが、業績不振のためにインターネット事業を始めたそうです。
この会社以外にも、全国各地の複数の会社が不正なまとめサイトの経営に携わっていることがNHKの取材で判明しています。
アダルトサイトから不正まとめサイトにアクセスさせるシステムを提供している疑いのある会社を突き止めたNHKが、電話取材をしたところ、「同じ名前のシステムは当社のものだが、サイトに仕掛けていたかは言えない。仮にそうだとしても不正ではないと考える」と番組内で回答していました。