「挨拶するのが怖い」リモート化で悩める若手社員を救う“一言”とは
結局、挨拶は必要か
細かいニュアンスを読み取ったり、相手の意図を汲み取って確認したりするシーンでは、「挨拶が必要になる」と大美賀さんは続ける。
「たとえば挨拶を交わしていれば、相手に一瞬の間があったり表情が曇っていたりした場合、『この前の仕事、やり方が間違っていたのかな?』などと気づき、『この前の対応、間違っていましたか?』など、相手に尋ねて確認することも可能です」
そう具体例を挙げた大美賀さんだが、その一方で「ただ、人間の習慣やルールは、やりやすいほうに変わっていく傾向にあります」と、逆の視点も提示する。
「これまで挨拶が大事にされてきたのは、『挨拶が重要な役割を持っていたから』です。昔は、挨拶を交わすことでお互いの顔を知っておくと、何かあったときには助け合えるという利点がありました。でも、いまはたとえば、マンションやアパートの住民同士のいざこざは管理会社に相談できたり、職場の人間関係のトラブルは専門の外部相談窓口に話をすることができたりします。昔に比べて、当事者間で直接やりとりしなくても済んでしまう環境が整っています。また職場の場合、非正規雇用が増え、職場の流動性が高まったことも原因のひとつでしょう」
挨拶をしない場合のデメリット
現在、企業側などは挨拶についてどのように考えているのだろうか。大美賀さんは「世の中は、まだまだ挨拶社会です。企業の新人研修や社員研修では、挨拶や相手の話を聞くときに反応をするという講義に時間を割いていることも多いです」と言い、次のように続けた。
「人間、気持ちで仕事をしている部分はあります。挨拶をする人としない人から『ここ、教えてください』と言われたら、いつも挨拶をしてくれる人のほうに、より多くの情報を与えたくなるのは自然な感情です」
いまはマスク姿ということもあり、「顔が隠れていて気づかなかった」という言い訳ができるかもしれないが、いずれにせよ挨拶の重要性は変わらない。
「というのは、挨拶をしたことで新しい情報や仕事が舞い込んでくることもあるかもしれないからです。リモートの終了や転職など労働環境の変化があったとき、挨拶習慣がついていないことで業務が円滑に進まなくなる恐れもあります」