<漫画>「風俗やってる」と書き込まれて絶望…ネット炎上から身を守るには
賠償金は数十万…割に合わないと感じる人も多い
――有名人でなくても炎上は他人事ではないんですね?
清水:そうですね。軽い気持ちでの投稿が炎上を招く、というのが一般的なイメージだと思います。しかし実際は、落ち度がなくても、仮にSNSを使っていなくても、突然炎上に巻き込まれる可能性も否定できないのです。例えばある事件の犯人と誤解されて晒されたり、といったことが実際に起きています。
――最初のシーズンでは「ママ友にブログを燃やされた主婦」が登場しますが、炎上に対して法的措置を取るには金銭面でも時間の面でも想像以上にハードなのだと感じました。
清水:作中でもハードに感じたかもしれませんが、実際にはあのようにスムーズにコトが進むことばかりではありません。それに最終的に相手の責任追及までできても、それで今までのことがなかったことになるわけではないですからね。普通の悪口だって人はなかなか忘れられないじゃないですか。
賠償金も数百万円とか回収できるのであればよいですが、裁判所で認めてもらえる額は数十万円になることが多いです。これに加えて、調査費用として特定にかかった弁護士費用も一部、または全部認めてもらえますが、合計してもせいぜい100万円前後。これでは費用と手間を見ると割に合わないと感じる人も多いと思います。そのあたりの被害者の心情は『しょせん他人事ですから』でも詳しく描かれています。
「改正プロバイダ責任制限法」に注目
――今清水さんが注目しているインターネット・SNS関連の法律はありますか?
清水:2022年10月までに施行される、改正プロバイダ責任制限法ですね。『しょせん他人事ですから』の13話は丸々この法律について解説する回になっています。情報開示の裁判手続が今まで2回必要だったのですが、それが1回で済むようにはなります。
一応、開示請求をしやすくなるとはされていて、手続きを簡易的にしようというのが目的ではあったのですが、2回に分けていた手続きが1回になるので、その手続きが非常に重たく、複雑なものになると想定されます。そのため、弁護士を使わず個人でやることはなかなか難しいのではないかと想定しています。ともあれ、実際どうなるかは裁判所の運用次第という側面もあり、今後に注目する必要があると思います。
――最後にどのような読者に本作を読んでもらいたいですか?
清水:できればSNSを使っている人、みんなに読んでもらいたいですね。関係がないと思っている人も多いと思いますが、SNSトラブルについて知っておけば避けられるリスクも多いはずです。
――またSNSへの投稿がきっかけで被害者・加害者になる確率を減らすにはどのような点に気をつければいいのでしょうか?
清水:基本的にはネガティブなことを書かない使い方をすれば、トラブルに巻き込まれるリスクは減ると思います。
<取材・文/日比生梨香子 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>