上場廃止危機「レオパレス21」が4年ぶり黒字化。なぜV字回復できたのか
2018年5月、施工不良問題が発覚し、世間をにぎわせた、賃貸大手の「レオパレス21」。明らかな不備があるとされた建築物は1万2000棟以上にのぼります。入居者離れが加速したことから同社の業績は悪化の一途をたどり、2021/3期にはついに債務超過に陥りました。
債務超過によって上場廃止へと向かうところでしたが、ついに最新の2022/3期末決算で債務超過を解消したようです。業績回復には何が決め手となったのでしょうか。
「話すだけで隣人から壁ドンされる」
ネット上には、レオパレス21の物件に関するさまざまな都市伝説がありました。「隣の人のいびきが聞こえる」「ガラケーの操作音が聞こえる」「話すだけで隣人から壁ドンされる」といった内容です。もちろん冗談で書かれたものもあるとは思いますが、少なくとも壁は薄かった……ということは後に明らかになります。
防火・防音性能に関わる「界壁」が小屋裏部分に一部施工されていなかったほか、天井部の構造に不備があるなどの施工不良問題が2018年5月に発覚。防音性に関しては界壁がない小屋裏部分から音が伝わっていたのではないかと考えられ、「明らかな不備」があるとされた物件は約1万2000棟、総戸数にして19万4000件に。
債務超過解消で上場廃止を回避
安全性に問題があれば、当然ながら消費者は離れていきます。施工不良問題が発覚する直前の2018年4月では、同社の物件入居率は92.8%でしたが、2019年12月には78.9%まで落ち込みました。同社の損益分岐点は80%前後であり、2019/3期、2020/3期はそれぞれ800億円、230億円規模の最終赤字を計上。
2021/3期には債務超過に陥り、上場廃止基準となってしまいます。しかし、最新2022/3期の決算では最終利益の黒字を計上し、資金調達にも成功したことで債務超過を解消しました。翌2023/3期も増収増益を見込んでいます。
レオパレス21は土地のオーナーに提案してアパートを建てさせ、このアパート一括で借上げて入居者に転貸する「サブリース」をビジネスモデルとしています。同社は賃貸事業の他、介護サービスやリゾートに関連した事業も展開していますが、収益のほとんどは賃貸事業によるものです。そして施工不良問題発覚後、レオパレス21の業績は急降下しました。