建設業界が“3K労働”イメージ払拭に「甲子園」を開催。3代目理事長の思い
不人気な業界イメージを変えるために
建設職人甲子園には、プレゼンテーション大会以外にも注力する取り組みがある。そのひとつが、2018年より実施している「子ども建設王国」。未来の担い手に、小さいうちから建設業界の仕事やものづくりの面白さを知ってもらう活動だ。残念ながら2020年以降は新型コロナの影響で延期状態だが、感染状況などを鑑みながら今後も開催予定となっている。
「いま、YouTubeとかお金を稼ぐ手段は、いっぱいあります。肉体労働はキツイというイメージもありますし、実際、寒かったり暑かったりは大変です。建設業界で働きたいという人数は右肩下がりですが、仕事を体感して毛嫌いする人は少ないのです。
でも、先入観やイメージから、若い方たちがそもそも働きたい職業として選択肢に入らない。それは私たちの責任です。本当は、しんどい思い以上に、ものづくりの面白さがあります。自分たちの仕事が世の中に残っていく、社会の景色のひとつになる。そういった達成感や面白さ、素晴らしさを未来の担い手に伝えられたらと思っています」
「火事」のネガティブイメージを払拭
「子ども建設王国」のほかに力を入れているのが、ネガティブイメージの払拭と建設業界で働く職人たちの意識やモラルの向上だ。具体的な活動のひとつが、「建設業界から火事をなくそう!」という趣旨のもの。東京消防庁の調べでは、工事現場での火災が年間100~200件起こっており、出火原因のトップ3にたばこが入っていると言う。
「ものをつくっている過程のなかで、火の元を現場に持ち込むということはあってはならないと思っています。火事の原因にもなるし、モラルの問題。現場単位で管理している所長などトップがたばこを吸う人だと、ルールがなぁなぁになりがちです。そうならないように意識を高めましょうという取り組みをおこなっています」
建設甲子園では過去に、たばこのニオイや火災、マナーとイメージなどをテーマにYouTube動画を作成。現場での喫煙に警鐘を鳴らすとともに、加熱式たばこへ切り替えることへのメリットなどについて伝えている。