bizSPA!

建設業界が“3K労働”イメージ払拭に「甲子園」を開催。3代目理事長の思い

ビジネス

埼玉地区決勝大会での優勝がきっかけに

大会へ出場するためには、まず応募期間中にエントリーし、仕事への想いや取り組み、会社の概要などをエントリーシートに書いて提出する必要があります。書き方はある程度自由なので各社ともに違うのですが、これを埋めるのがまず難しい。何度も話し合いが必要になります」

 石井氏は、希薄になっていた職人たちと対話を重ねながらエントリーシートを作っていくなかで、お互いの意思や想いが自然と合致して「わだかまりが解けていった」と言う。そして、2016年の埼玉地区決勝大会では優勝。自身が経験した感動をほかの職人や経営者にも体験してほしいとの想いから、2018年には甲子園の埼玉地区理事長に就任している。

 建設職人甲子園スタッフとして企業へサポートに入ったとき、石井氏は、あらためてエントリーシートを作成することの大切さを実感する。社長や幹部クラスは会社のビジョンやこれまでの紆余曲折などを話せることが多いが、末端の職人や現場の職長になると意外に自分たちの会社のことを知らない。だから、エントリーシートも埋まらない

大会出場で「社員同士が話し合う」

建設職人甲子園

プレゼンテーション大会で普段の仕事ぶりを披露する職人

「大会出場のためのシートを埋める作業は、社長や幹部だけがおこなうのではなく、できれば社員全員で取り組んでもらいたいとお伝えしています。そうすると、自分たちの会社の存在意義や何をもって社会に貢献しているのか、何を大切にしてこの仕事や事業を続けていくのかなど、社員同士が時間をかけて話し合うことになるのです。

 また、甲子園の人間がサポートに入ることで、当事者たちだけでは見えなかった自分たちの良いところや悪いところを客観視でき、『では、自分たちはどうすればいいのか?』といったことがみえるようになります」

 社員同士が対話するなかで、「会社のビジョンは、社長が考えるもの」という考え方が変わったり、現場まで車に乗り合わせても口を利いたことがなかった職場仲間の考えや想いを知ったりする。プレゼンテーションというお題をもとにこうした話し合いを繰り返すことが、「チームビルディングを構築するキッカケになる」のだと石井氏は語る。

おすすめ記事