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理想は語るが実行力がない…職場の「高い理想さん」とうまく付き合う方法

学び

理想論に期待しすぎず、着実なプランを

調査

「高い理想さん」が理想を語っても、むやみに信じるのはひとまず待ってください。

 新しい提案をする人がいると、私たちは未来を感じて期待を寄せますが、それは狩猟・採集時代から伝わる生得的な反応です。しかし、複雑な現代社会では、現実的な構想をベースに予算など多様な条件をクリアしないと実現には至りません。その理想が実現に向けた具体的なプランを伴っているのか、きちんと確認しましょう。

 また、「小さい予算で大きな成果」を求めすぎない姿勢も大切です。こうした理想先行の施策というのは、ただでさえ実現性が低いので、お金は締め付けすぎないことが求められます。

 特に、行き詰まりを感じている組織では、新しい発想が出てくるだけですぐに過大評価してしまう傾向が見受けられます。しかし、「高い理想さん」の言動は企画倒れに終わることが多いことを念頭に置き、期待しすぎないようにしましょう

実現できる範囲の提案をし、仲間も頼ろう

 自分に「高い理想さん」の傾向があると自覚している場合、自分の優秀さを装うためについ理想を語ってしまうようでしたら、早いうちに仕事への向き合い方を変えたほうがいいでしょう。最初は注目を集めることができても、いずれ本性がバレてしまいます。

 自己評価を下げたくないなら、実現できる範囲で新しい提案を行うべきです。自分の能力を正しく見積もることができる人のほうが、現代では最終的に有能だと判断されると心得ましょう。もし、悪気はないが理想を語るだけで終わってしまう、という自覚がある場合、一人で頑張らずに実現可能な方法を提案してくれる仲間と組むことをおすすめします。

 ベンチャー企業でも、理念を語る人とその実働部隊は分かれていることが多いもの。エンジニアや技術者の多くは、スキルはあっても必ずしも新しいビジョンを持っているわけではないので、刺激的な提案に出合えば積極的に協力してくれるでしょう。

<TEXT/進化心理学者 石川幹人>

1959年、東京都生まれ。進化心理学者、明治大学情報コミュニケーション学部教授、博士(工学)。大学で教鞭を執る傍ら、科学リテラシー教育や科学コミュニケーションの啓蒙活動にも力を入れている。主な著書に『その悩み「9割が勘違い」』(KADOKAWA)、『生物学的に、しょうがない!』(サンマーク出版)ほか多数

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