Netflix視聴No.1『今、私たちの学校は…』韓国ドラマに残る“ジャパニーズホラー”の魅力
「何度見ても面白い」シーンの数々
脇役ゾンビの演技プランは本当にどうなっているのだろう。メインとなる長回しのワンカットは計算しまくって作っているとしても、ふいに映ったわずか1~2秒のシーンでもとんでもないアクションを見せている。
主人公が階段を駆け上がれば、大勢のゾンビが団子となって階段から転がり落ちる。廊下を曲がる際には、スピードを制御できずに壁に激突する。(ご時世的に言えないだけで)本当は脇役ゾンビ全員ケガしてんだろ?って邪推するくらいに激しい。
学内を利用したアクションも楽しい。オンジョたちは、教室、食堂、放送室、音楽室、体育館、テニス場など、さまざまな場所に逃げ込む。そのたびにドア枠やバレーボールなど、ロケーションに合わせた武器で工夫して戦う。今ゾンビの顔面に三角定規ぶっ刺さってなかった? など思わず二度見するほどのギリギリのアクションで。
よく映画やドラマを褒める際に「何度見ても面白い」という言葉が使われるが、『今、私たちの学校は…』はその最たるもの。ワンシーンだけで何度も巻き戻したくなる。
和洋韓の総決算ゾンビ
勢いに乗る韓国ドラマならではのアクションシーンだが、ジャパニーズホラーのエッセンスも含まれている。噛まれた人間は鼻から血が吹き出して目が充血、今まさにゾンビになる瞬間には「ガガ、ギギギ……」と怪奇音が鳴り響き、ストップモーションのように動き出す。
これは『呪怨』(2000年)で清水崇監督がやった演出をリスペクトしたものと思われる。カクカクとした動きからの全力疾走は、緩急抜群だ。
「まるで映画の世界だ」
「ゾンビだよ。『新感染』見ただろ?」
また、登場人物たちはゾンビを映画やドラマで知っているという前提になっている。その知識をもとに動いてみたりもして、ストーリーに影響を及ぼしている。1932年、アメリカ映画『恐怖城』で生まれた(と言われている)ゾンビが、ジャパニーズホラーのエキスを注入され、韓国のアクションを体得したのだ。世界のゾンビの総決算みたいな仕上がりだ。