希望退職を拒否、25歳で会社に残った男の後悔「人生を無駄にした」
コロナ禍による業績悪化などで、早期退職を募集する上場企業は2年連続で80社を超え、募集人数も1万5000人以上となった。会社員に忍び寄る“クビ切り”が現実味を帯びるなか、長年勤めた会社に“棄てられた”人たちはどうすべきか。今回は会社に残り後悔した人をリポートする。
25歳でリーマンショックを経験
●広川賢介さん(仮名)
・中堅自動車部品メーカー正社員
・年収=500万円台
・勤続年数=10年
中堅自動車部品メーカーに新卒で入社した広川賢介さん(仮名・38歳)は、入社3年目の25歳、2008年にリーマンショックを経験。そのあおりで、会社は全社員を対象に希望退職を募った。
「リーマン前は業績もよく、ボーナスも一般的な水準よりは高い会社でした。しかし、リーマン後の勤務は週3日に切り替わり、すぐに希望退職が募集されました。当時は定年まで勤めると信頼していた会社だったので、ショックは大きかったです」
部長面談で会社に残る決断
200人弱いた従業員のうち80人が希望退職に応じたが、当時25歳だった広川さんは会社に残る決断をした。
「部長面談で『退職者ぶんの売り上げを残った人の給料に反映し、業績も回復させるから』と慰留されました。ところが、それからの8年間昇給がなく、ボーナスは寸志程度。
会社に残った人の多くは40代以上で仕事へのモチベーションが低い人ばかりでした。一番若かった私は、『お前が頑張ってくれないと会社が持たない』とプレッシャーをかけられる日々でした」
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