「年収アップを狙うと、逆に上がらない」他人の出世に嫉妬する人への教訓
最近同期たちが次々に昇進していく……。SNSでは、学生時代の仲間が「MBAをとった」と発信していたな。転職して昇給したなんて話も聞く……なんか焦ってきた。そろそろ管理職にならなきゃいけないけど、マネジャーとかリーダーとかって何すんだっけ?。
そんな悩み多き社会人10年目前後の人たちに向けて、電通、アクセンチュアを経て現在は株式会社アイデミー取締役執行役員COOを務める河野英太郎氏の著書『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より「キャリアの壁」の乗り越え方についてのコツをお伝えします(以下、河野氏寄稿)。
「経営のプロ」が放った一言に衝撃
《収入は付いてくるもの。追いかけるものではない》
私が尊敬する、あるプロ経営者の話です。その方は誰もが知る複数の大企業の経営経験に加え、起業・上場を果たした文字通り「経営のプロフェッショナル」です。直接お仕事をしたわけではありませんが、その方の経営する会社に所属したことがあり、会社方針説明などで話を聞きながら、私は常に敬意を持って見上げていました。
その方が、会社を去るときに、全社員向けに最後のスピーチをされた内容が今でも頭を離れません。
「これからのみなさんのキャリアの中で、『追いかけるもの』と『付いてくるもの』を間違えないようにしてほしい。お金や地位は追いかけてはいけない。みなさんが追いかけるのはお客様の成功であり、そのための自身のスキル開発だ。それさえ間違えなければお金や地位は後から付いてくるものだ」という趣旨でした。
収入には常識を歪ませる魔力が
私はそのスピーチに衝撃を受け、以来ずっと大切に心の中に留め、事あるごとに反芻(すう)しています。仕事をする上で、その価値を測った対価としての収入は大変重要な要素です。
私も若い頃は給与明細は毎月のようにチェックしていましたし、少しでも職位を上げようと必死にこだわることもありました。周りを見ても、給料や職位を上げるために無理をして、体や心を壊してしまう人や、収入だけを理由に転職して失敗する人もいます。
なかは、年収を上げるために評価や目標を必死で操作したり、ライバルと思う人の足を引っ張ったりする人も。時には意図的に嫌がらせのようなクレームを入れてまで、なんとか昇給しようとする人を見かけたりもしました。
これ、収入を上げることが目的ならば、普通に考えてあまり効果的な方法じゃないですよね。むしろ逆効果ですらあります。ですが、収入というのは「普通に」考えられる人の常識さえ歪ませてしまうほどの魔力があります。