「ゴメン、無理…」交際5年目の彼女が突然ハマった“驚きの食材”とは
幼虫を一気食いして「美味しい!」と一言
「聞いてもいないのに屋台のスタッフが、『昆虫も幼虫も、すべて素揚げしています』と説明してきて、僕にサンプルの幼虫フライを手渡してきたんです。見た目は茶褐色で飴のようにツヤツヤと光っていて、その何ともいえない光沢と異様な姿に思わず吐き気をもよおしました」
千浜さんとは対照的に、彼女は生き生きとした目で昆虫たちを見つめ、店の人から「初心者でも食べやすい」と勧められた縦に5センチほどの幼虫を手に取ったのだとか。さすがに最初は端の方だけを口に入れた彼女でしたが、次の瞬間には「おいしい!」と声を上げたそうです。
「そして、幼虫を一気食い。勢いの止まらない彼女は、カブトムシやゴキブリに似た昆虫とともに、さっき食べたものよりも長い幼虫を買っていました。さらには、僕にも幼虫を買うように勧めてきたんです。もちろん、断りました」
その後、彼女は昆虫食に激ハマリ。「新型コロナが収まったら、昆虫食が食べられる店を巡る旅行がしたい」などと言いはじめたそうです。コロナが長引くと、昆虫などが食べられる近場のお店をチョイスするようになっていきました。
彼女の変化と予期せぬ出来事
「昆虫食を出すお店でも、頼めば昆虫なしにしてもらうこともできたので、まだ耐えられました。でもそのうち、彼女の家へ遊びに行っても、昆虫入りのお菓子や料理などが出てくるように。そこで、耐え切れず別れ話を持ち出しました。実際に別れるつもりだったわけじゃなく、昆虫を出すのをやめてもらえたら、と思っただけです」
しかし彼女は「ゴメン、無理……」と小さな声でつぶやいたかと思うと、スッと立ち上がり、ハッキリとした大きな声で「昆虫食が無理な人となんて結婚できない! これ以上、付き合うのも無理!」と言い放ったのです。
「彼女のことが大好きで、何があっても別れることは一生ないと強く思っていました。それが、こんなカタチで呆気なくフラれてしまうとは1ミリも想像していなかったです。あの旅行のとき、ふざけて昆虫食なんて勧めなければ……とも思います」
昆虫食と天秤にかけられた千浜さんは、大好きな彼女と別れるハメになってしまいました。食の好みとは恐ろしいもの。場合によっては千浜さんや彼女のように、食べ物が大きなターニングポイントのキッカケになることもあるかもしれません。
<TEXT/山内良子 イラスト/磋藤にゅすけ>
-[食に関するびっくりエピソード]-