同僚を飲みに誘ったらストーカー?社会人が知るべき「職場恋愛のリスク」
「しつこくつきまとわれている」。こう吹聴され、「セクハラの男」になってしまった。この時、どうするか。セクハラ問題について他人事に考えている人も多いが、双方の言い分や感情が入り混じった結果、思いもよらぬところから被害が告発されることもある。
実際に起きた事例をもとに、セクハラについて考えたい。本記事の前半で具体的な事例を、後半で人事の専門家の解決策を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。
事例:同僚を飲みに誘ったらストーカー!?
田口公房(仮名・28歳)は職場で孤立している。数か月前から、「セクハラをした」と噂になっているからだ。
勤務するのは、社員数500人ほどの専門商社。新卒で入り、営業部配属6年目。営業成績は20代の15人程の中では常に上位3番以内。営業担当役員の推薦で、2年前に部署横断のプロジェクト「ITデジタル推進チーム」に入る。そこで経理の女性社員(26歳)と親しくなり、時々、2人でランチをするようになる。仕事を終えた後、2人でお酒を飲み、盛り上がった時もあった。
いずれも男性が誘ったのだが、双方の合意のことだ。3回目のお酒を当然のごとく、誘ったところ、断りを受けた。田口は、女性との関係を進展させたかった。ともに独身で、2回もお酒を飲んだ以上、「その次」を期待し、数回誘う。しかし、毎回、断られる。いつしか、社内で「セクハラ」と噂され、最近は「ストーカー」と言われている。田口は、女性への未練と怒りの日々だという。
セクハラなのか?専門家の回答
社会保険労務士のキャリアが30年近い、ベテランの中村紳一さんに取材を試みた。まず「今回の事例は、セクハラと言えます」ときっぱりと言い切る。
「1~2回と女性とお酒を飲んだ時点までは女性はセクハラとは感じていなかったのかもしれませんね。しかし、男性は3回目の誘いで断りを受けたわけですから、速やかに引くべきでした。引き際が大事です。拒んでいるにもかかわらず、誘うのは本人の意思に反するのですから、セクハラとなります」