大手が続々参入する「メタバース」をイチから解説。未来の100兆円市場の可能性
最終的には人間の活動のほぼすべての側面を網羅
「最終的には仮想空間のオフィスに出社してそこで業務をする。ネットショップがメタバース空間になり、店内を歩いて商品を手に取り、仮想通貨(暗号資産)で決済する。教育や余暇も含め、人間の活動のほぼすべての側面を網羅するところまでイメージされています。
ですが、既存のメタバースはあくまで『疑似空間』でゲームやチャットを楽しむ世界で、NFTゲームで有名なサンドボックスにしても、月間アクティブユーザー数は3万人を超えた程度。実現にはまだ時間がかかりそうです」
フジマナ氏がそう指摘するように、ユーザー数が20億人を超えるフェイスブックやユーチューブがメタバースに置き換わるのはかなり先の話になりそうだ。実際、メタのクリス・コックス最高製品責任者は日本経済新聞の取材に「(メタバース計画の実現には)5~10年、あるいは15年の期間が必要」と発言している。
「キャラクターを操作する」のではなく…
では、メタバースの世界は「絵に描いた餅」なのかといえば、そんなことはない。「メタバース2.0」と呼ばれる将来像のなかで、SNSやEコマース、3Dゲームなどの「統合」が一部で始まっているからだ。実際に週100時間をメタバースで過ごす「住人」である、メタバースライターのアシュトン氏(@ashton_vrchat)が話す。
「私はVR系のWebメディアでメタバースのコミュニティ情報を伝えています。メタバースのなかで、アバター同士でインタビューができるんです。仕事が終わればメタバース内で友人がやっているバーに立ち寄ったりもします」
アシュトン氏が主に利用するのはVRチャットというサービスで、ユーザー同士の交流を目的としたソーシャルVR系に分類されるメタバースだ。今回、メタバース空間にいるアバター姿の彼にインタビューしたが、あくびをこらえたり手の動きから感情が伝わってきたりと、表情が豊かなことに驚く。
「一般的には『人とのコミュニケーションを伴う3Dの空間』が広い意味でのメタバースの定義です。従来のゲームで『キャラクターを操作する』ところ、メタバースでは『キャラクターになる』という点が大きく違う。それを実現させるアバターが根底にある文化だと思っています」(アシュトン氏)