「QBハウス」は1200円カットでなぜ利益が出るのか。安さのカラクリを運営に聞いた
初の海外進出が思いもよらぬ展開に
――QBハウスはいつどこで誕生し、現在はどのような展開がなされているのですか?
宮城:1996年、東京都神田美土代町に1号店がオープンしました。2021年11月末時点で国内に586店舗(※QBHOUSE、FaSS、QBPREMIUMのQBグループ合計)、海外では香港の66店舗をはじめ台湾やシンガポール、アメリカなどの4か国で合わせて135店舗を展開しています。
――海外進出時、日本と違った苦労はありましたか?
宮城:2002年、初の海外進出となったシンガポールでの出来事です。当時はフランチャイズで出店を進めていましたが、ある日、22店舗全ての看板が一夜にして別ブランド「ECハウス」に変えられてしまい、営業拠点を全て失うという経営危機に陥りました。
海外ではいくら知財登録をしても負けることもあり、市場が違うのだと受け入れなければならないということを学びました。1年以上、裁判と直営での新規出店を続け、議論も重ねましたが「裁判をやめ赤字直営店も全て閉鎖、力のある人材を海外に派遣し、最後にもう1度挽回にチャレンジし、これでダメなら撤退」という結論になりました。
簡易型店舗で挽回を図った
――挽回のアイデアはあったんですか?
宮城:「QBシェル型」店舗という、1坪サイズにカプセル装置化したもので、2時間で組み立てることができる簡易型の店舗で低投資での出店を始めました。空港のコンコースやショッピングセンターなどエレベーター前などのデットスペースを有効活用できる店舗で、目立つ形態であるため認知が向上し、お客様からの支持も増え、出店が加速していきました。また、2006年にグッドデザイン賞も受賞できました。
――まさに挽回ですね。その苦難を乗り越え、この先どんな未来を見ていらっしゃいますか?
宮城:「10年後のQBハウスを見据える」をテーマに、2020年3月より「QBPREMIUM」を展開しています。1650円でヘアカットからスタイリングまでご提供しており、お客様からのご要望や世の中の流れに対して挑戦をしていく店舗です。現在は東京大手町・大阪梅田で2店舗を展開しています。
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普段当たり前のように利用しているQBハウスが、実は計算されつくしていたことに驚きを隠せない。徹底した信念とこだわりがあるからこそ、理美容業界全体の売上高で第2位にまで躍進したのだろう。
<取材・文/Mr.tsubaking>