貧困問題が拡大した「2021年 流行語」10選。もう死ぬしかないですか、子供ガチャetc.
2021年流行語大賞は「リアル二刀流/ショータイム」が年間大賞に選ばれた。それを表とするならば、界隈ごとに盛り上がった裏流行語がある。ジャンル別に“世相を反映した”言葉を一挙紹介。今回は貧困編。
コロナ禍による格差拡大で貧困問題
コロナ禍で格差はさらに広がり、深刻化する貧困問題。「貧困は自己責任だけでなく、生まれ持った素質や家庭環境が大きく作用すると多くの人が実感した1年だった」と作家の吉川ばんび氏(@bambi_yoshikawa)は振り返る。
「本家の流行語大賞トップ10に入った『親ガチャ』に対して、逆に親も子供を選べないという意味の『子供ガチャ』が誕生。また経済状況によって『リモート格差・IT環境格差』に苦しむ若者が多く、社会問題となった。その結果、『そもそも自分は生まれてこなければよかった』と考える『反出生主義』なる思想まで、ツイッターのトレンド入りしました」
貧困は若者に限った話ではない。サントリー社長が「45歳定年制」の可能性を示したことが話題に。
「リストラで、社会的に救済されにくい、いわゆる“弱者男性”が増えていく。正しい情報も選択できずに『ガラスの地下室』、つまり過酷な環境で働かざるを得ない。そんな人が映画『ジョーカー』を見たら、主人公と自分とを重ね合わせて、社会への鬱憤を晴らそうと、凶行に走ることがあるかもしれない。孤立しがちな社会では、そこまで人を追い詰めてしまうんです」(吉川氏、以下同)
弱者から切り捨てられていく現状
困窮者を救うはずの公的な支援が受けづらい現状にも問題がある。
「コロナで経済的に打撃を受けた人への貸し付け制度はありますが、返済の見通しがある人にしか貸し付けない。その手続きも煩雑で、『国は支援金を国民に受け取らせないようにしている』と批判が殺到。『もう死ぬしかないですか』という言葉がSNSに溢れていた」
来年は「社会の搾取構造がより強固になっていく」と氏は続ける。
「世の中が不景気になるほど弱者から切り捨てられていく。経済やデジタル格差はさらに広がってしまい、すべてを搾取される貧困の連鎖からさらに抜けられなくなる」
煩雑な貧困問題の抜本的な解決にはしばらく時間がかかりそうだ。